烏帽子岳えぼしだけ

長野県大町市街の西方19km、大町市と富山県富山市との県境に位置する。北アルプス後立山連峰*の南につづく尾根の一峰で、標高2,628m。槍ケ岳への裏銀座コース*の起点である。
 頂上部は烏帽子*状のとがった岩峰が立ち、その形から山の名が付けられたといわれる。烏帽子岳という名の山は日本全国でも数多く50座以上、烏帽子山を含めると90座程度あるという。その中でもこの烏帽子岳は、鋭く尖った姿で最も特徴的な山であると言えよう。
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みどころ

槍ヶ岳ほどの規模ではないが左右対称のすっきりしたピラミッドの山頂。花崗岩の白い砂礫にコマクサが咲き、ハイマツの緑とのコントラストの中、ピラミッドの山頂部の姿が美しい。山頂の北側には四十八池と呼ばれる池塘群*が点在し、クロユリ、ウサギギクなどの高山植物が咲き乱れる。
 頂上からは薬師岳や赤牛岳・五色ケ原方面の展望がよい。
 北アルプス三大急登*の一つに数えられるほど、苦労する登山道を登り切った時の達成感と眺望は、何物にも代えがたい。(林 清)
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補足情報

*後立山連峰:北アルプスの主要な連峰のひとつで、富山と長野の県境に連なる連峰。北は白馬岳から、南は針ノ木峠付近まで。
*裏銀座コース:烏帽子岳から野口五郎岳、鷲羽岳、三俣蓮華岳を経て槍ヶ岳に至る縦走コース。登山中、槍ヶ岳の姿を眺めながらの縦走であり、表銀座コース同様、槍ヶ岳の山頂に達したときの達成感と振り返って見える長い縦走路に感激する。
*烏帽子:平安時代から和装での礼服着装の際に成人男性が被った帽子のこと。
*池塘:高層湿原の形成過程で残された池沼、水溜まり。
*北アルプス3大急登:烏帽子のブナ立尾根、燕岳合戦尾根、鹿島槍赤岩尾根あるいは笠ヶ岳の笠新道を指す。
関連リンク 信濃大町なび(一般社団法人大町市観光協会)(WEBサイト)
参考文献 信濃大町なび(一般社団法人大町市観光協会)(WEBサイト)
信州山岳ガイド(信濃毎日新聞社)(WEBサイト)
「甲信越百名山」(大和渓谷社)
「日本の山々」(山と渓谷社)

2022年09月現在

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