安楽寺あんらくじ

別所温泉の北西の山腹にある。温泉街から登りにはなるが歩いて10分程度のところにあり、静寂な中に建っている。
 1288(弘安11・正応元)年執権北条貞時の援助を得て樵谷惟仙(しょうこくいせん)*が開山したという。鎌倉の建長寺などと並んで日本では最も古い臨済宗寺院の一つ。鎌倉時代中期すでに相当の規模をもった禅寺であり、学問・宗教の中心道場であったとされている。1588(天正16)年ころ、高山順京が曹洞宗に改めた。本堂裏にある伝芳堂には鎌倉末期作の惟仙・恵仁和尚坐像が安置されている。
 本堂の裏を登った山腹にある木造八角三重塔*は、木造の八角塔としては全国で唯一の建築で、1952(昭和27)年文化財保護法により長野県では一番早く国宝に指定されたもの。2004(平成16)年奈良文化財研究所埋蔵文化センターの調査の結果、三重塔用材の伐採年代は1289(正応2)年ということが判明。これにより少なくとも1290(正応3)年代(鎌倉時代末期)には建立されたことが明らかとなり、わが国最古の禅宗様建築であることが証明された。三重塔の下に裳階(もこし=ひさし又は霧よけの類)をつけた珍しい形式であるうえに細部も禅宗様の形式からなり、類例が少ない。
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みどころ

国宝、重要文化財等数多くの鎌倉時代の文化遺産を有し、信州最古の禅寺のおもかげを残して歴史を感じさせる。
 山門をくぐると、鐘楼と正面に本堂が見え境内は狭いが美しい姿。本堂は昔の形を残した、落ち着きのある佇まいである。国宝八角形の三重塔がわが国では唯一で珍しく、また、本堂から緑の中階段を上った上にあるため、木立の合間から見え隠れする三重塔への期待感がふくらむ。三重塔は松の緑に映えて、重厚なたたずまいがどっしりとしている。(林 清)
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補足情報

*樵谷惟仙(しょうこくいせん):鎌倉時代の僧。木曽源氏の出といわれ、樵谷と号する。宋に渡り、帰朝に際しては鎌倉建長寺の開山、蘭渓道隆と同道した。また2世の恵仁は、惟仙に従って日本に帰化した中国僧である。
*八角三重塔:鎌倉後期の建立と推定。禅宗様で、わが国に現存する唯一の八角形の塔。高さ18.5m、柿葺(こけらぶき)。初層に裳階があるため、四重塔のように見える。
関連リンク 曹洞宗 崇福山 安楽寺(WEBサイト)
参考文献 曹洞宗 崇福山 安楽寺(WEBサイト)
信州上田観光情報(上田市)(WEBサイト)
「信州上田」パンフレット 上田市観光課

2022年09月現在

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