美ヶ原高原うつくしがはらこうげん

松本市、上田市、長和町にまたがり標高2,000m前後に位置する、広さ5km2の広大な高原台地である。信州のほぼ中央にあって中部山岳のほとんどの山を眺める360度の展望台として知られている。高原の最高峰は標高2,034mの王ケ頭で、東側は平坦な台地状でいくつかのピーク*がある。王ケ頭の真下には三城牧場がある。放牧場としては明治時代から開発されていたところで、6~10月には一帯に牛が放牧され、牧歌的光景が展開される。
 成因は火山の溶岩台地*というのが定説だが、現在では三城累層が隆起し浸食されて平坦地となった準平原であるともいわれている。頂上部は輝石安山岩でおおわれ、岩石は落雷の残留磁気によって磁化している。
 高原の中央には美ヶ原のシンボルである「美しの塔」があり、高原の北東部の斜面には屋外彫刻を中心とした「美ヶ原高原美術館」がある。
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みどころ

深田久弥は日本百名山の中で「高原の中で第一に挙げたいのが美ヶ原である。ここほどその条件にかなった所もないだろう。大体二千米前後の高度を保って豊かに起伏した原である。」と記し、プラトー又はテーブルランドにふさわしいと認めている。
 美ヶ原から北アルプスをはじめ木曽御嶽山、中央アルプス、南アルプス、富士山、八ケ岳、秩父連山、浅間山、戸隠・黒姫などが大パノラマとなって浮かぶ。
 最高峰の王ケ頭を中心に北に焼山・武石峰、南に茶臼山、東には牛伏山などいくつかの峰がゆるやかな起伏で連なり、一面に高山植物が咲き乱れる草原が広がっている。北アルプスの2,500m以上に生える植物も見られ、その種類は約200種と豊富である。群落を見せるのはレンゲツツジ、マツムシソウなど。王ケ頭の南側は断崖絶壁となって切れ落ち、真下に三城牧場を望む豪快な風景である。
 高原探勝は残雪の山々を望む5・6月と高山植物の咲き乱れる7・8月がよく、特に6月下旬レンゲツツジが一面に咲く頃は、牧草地に展開する赤と緑のコントラストが美しい。10月の紅葉期は静かな高原情緒が味わえる。(林 清)
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補足情報

*美ヶ原のピーク:王ヶ鼻(2,008m)、茶臼山(2,006m)、牛伏山(1,990m)、鹿伏山(1,977m)、武石峰(1,973m)など
*溶岩台地:地殻の割れ目から溶岩が噴出してできた台地状の火山をいう。四国の屋島がこの例である。
*山本小屋:山麓の住人山本俊一がこの高原を愛し、昭和の初期に道を開き、質素な小屋を建てた。今の山本小屋の始まりである。
関連リンク 新まつもと物語(松本市)(WEBサイト)
参考文献 新まつもと物語(松本市)(WEBサイト)
「美ヶ原高原」パンフレット 松本市・松本観光コンベンション協会

2022年09月現在

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