牛伏川フランス式階段工うしぶせがわふらんすしきかいだんこう

松本市の南東、鉢伏山(はちぶせやま)の中腹標高1,000mにある牛伏川フランス式階段工は、1918(大正7)年に完成した治山治水の土木施設。
 新潟県下の信濃川で多くの災害が相次ぎ、明治時代には信濃川改修問題が起こった。この問題の主たる要因となる土砂の供給源が長野県の水源地帯、中でも牛伏川にあるとされていた。そのため1885(明治18)年より砂防工事が実施され、工事開始から33年後に一連の工事が完成した。
 流路形状は明治後期に欧州に派遣された技師の池田園男(いけだまるお)がフランスアルプス渓谷の砂防技術を参考として、自ら設計して造られたもの。空石積と呼ばれる技法を用いた石積堰堤で、現在でも充分にその役割を果たしている。
 約141mの水路内には19基の床固及び護岸工があり、河川勾配を階段状にして土砂の流失を防いでいる。
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みどころ

川底に敷き詰められた石や護岸の石積みの並びが見事で、土木技術の芸術品と言っても過言ではないほど美しい。川と森林の景観が美しく、夏には涼を求めて癒しのスポットになる。
 駐車場からは快適に歩ける道がめぐらされており、30分から2時間程度の散策コースがあり、ゆっくり歩いてその美しさと、先人の知恵と技術を観賞・学ぶことができる。
 付近には牛伏寺(別項目参照)があり合せて見学するとよい。(林 清)
関連リンク 新まつもと物語(松本市)(WEBサイト)
参考文献 新まつもと物語(松本市)(WEBサイト)
牛伏川階段工リーフレット(牛伏鉢伏友の会)(WEBサイト)
『「フランス式階段工」って、何だ』 牛伏会

2022年09月現在

※交通アクセスや料金等に関する情報は、関連リンクをご覧ください。