梓川(上高地)あずさがわ(かみこうち)

長野県中西部を流れる川。槍ヶ岳に源を発し、途中穂高岳の横尾谷や徳沢と合流し、上高地を経て松本盆地で奈良井川と合流して犀川(いがわ)となる。長さ77km。
 梓川の上流域は景勝地も多く、流量の豊かな清流と山岳景観が美しい。この中でも標高約1,500mの細長い盆地が上高地である。
 上高地は日本のアルピニズムの発祥の地とされるところで、かつては登山者だけが知る秘境であった。しかし、梓川沿いにバス道が通じると、たちまちにして開け、わが国を代表する一大観光地となっている。
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みどころ

北に穂高連峰が屏風のように連なって厳しい表情を見せれば、西では焼岳が白煙を上げ、背後の霞沢岳も巨大な山稜を突き出している。そして、清らかな瀬音をたてる梓川沿いには、白樺・モミ・コメツガなどの原生林に包まれて大正池・田代池・明神池が散在し、水面に山影を映している。
 上高地が冬の眠りからさめるのは4月下旬。梓川岸のケショウヤナギが芽吹くが、山々はまだ冬のまま。5月中旬から6月上旬にかけては、小梨平から明神周辺や徳沢にニリンソウやコナシの白い花が一面に咲き乱れる。
 梅雨明けの7月ごろまでは残雪を抱いた優美な穂高連峰が望まれる。特に河童橋からは、梓川越しの穂高連峰の美しさと迫力に圧倒される。7・8月は高山植物が咲きほこり天候も安定しているため、多くの観光客・登山客が訪れる。
 10月は紅葉の最盛期で、この美しさを求めて観光客も多い。10月下旬、紅葉の葉が完全に落ちる前に山々には根雪が積もり、11月になるともう冬山となる。最近は天気の良い冬の日にツアーに参加して、釜トンネルを歩きスノーシューやクロスカントリースキーで訪れ、静寂と白銀に歓声を上げる姿も見られるという。(林 清)
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補足情報

*W.ウェストン:イギリスの宣教師で登山家。1887(明治20)年から数度にわたり来日。北アルプス、南アルプスなど高山を探検登山し、帰国後の1896(明治29)年に「日本アルプスの登山と探検」をロンドンで刊行、日本山岳の美を紹介した。中ノ瀬園地対岸には、ウェストンをたたえる碑がある。ウェストンの功績を称え偲ぶウェストン祭が、毎年6月に開催されている。
関連リンク 上高地(上高地観光旅館組合)(WEBサイト)
参考文献 上高地(上高地観光旅館組合)(WEBサイト)
「信州松本―上高地」パンフレット松本市山岳観光課

2022年09月現在

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