白骨温泉しらほねおんせん

梓川の支流湯川沿いに湧く。緑濃い山々に囲まれてむかしながらの木造旅館が並び、露天風呂が点在して、湯けむりが立ちのぼっている。江戸時代から知られた名湯だが、中里介山(なかざとかいざん)の小説『大菩薩峠』*の一場面を飾って一躍有名になり、バス停近くには『大菩薩峠』文学碑も立つ。
 付近にはスキー場があり、特別天然記念物の噴湯丘*と球状石灰石も見られる。またバス停の下は湯川の流れが石灰岩を浸食してできた高さ20mの洞門になっており「隧通し(ついとおし)」と呼ばれている。
 源泉は10数ケ所あり、硫化水素泉、重炭酸土類泉で50度前後。石灰岩を溶かして重炭酸カルシウムが多く白濁し、胃腸病に特効がある。
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みどころ

白骨温泉の魅力はなんといっても白濁した見た目にきれいなお湯にある。しかも白骨温泉の湯はお肌にやさしい弱酸性(中性)である。乳白色の温泉は一般的には強酸性で、ぴりぴりチクチクと肌に強い刺激があることが多いのだが、白骨温泉のお湯はマイルドなことも大きな魅力。
 温泉周辺は緑が深く、渓谷沿いは湯川の水の清らかさと緑のコントラストが美しい。公共の露天風呂も湯川の河原にあり素朴で気持ち良い。
 飲泉も可能であり、硫黄と炭酸成分を直接体内に摂ることで、消化器系の臓器の血流が良くなり、臓器の働きをよくするとともに便秘にも効果があるという。(林 清)
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補足情報

*大菩薩峠:中里介山作の長編時代小説『大菩薩峠』の主人公・机龍之介は白骨温泉に滞在して保養に励むが、当時「白船(しらふね)」とも呼ばれていたこの温泉地は、中里介山が「白骨(しらほね)」と描いてからは一躍有名になった。
*噴湯丘:多量のカルシウム・炭酸を含有する温泉が噴出して石灰華が生じる。噴湯丘は噴出口を中心に沈殿物が円錐形に堆積してできたもの。白骨温泉の噴湯丘は石灰華の厚さ20~30mに及ぶ。
関連リンク 白骨温泉(白骨温泉観光案内所)(WEBサイト)
関連図書 「大菩薩峠」 中里介山作
参考文献 白骨温泉(白骨温泉観光案内所)(WEBサイト)
「信州 松本―白骨温泉」パンフレット 松本市山岳観光課
「乗鞍高原・白骨温泉の自然観察」パンフレット 安曇村観光協会

2022年09月現在

※交通アクセスや料金等に関する情報は、関連リンクをご覧ください。