サントリー白州蒸溜所さんとりーはくしゅうじょうりゅうじょ

JR小淵沢駅の南西約8km、南アルプス・甲斐駒ケ岳のふもとの広大な森の中に1973(昭和48)年に開設されたモルトウイスキー蒸溜所。南アルプスの山々が生み出す良質な天然水*を活用した、自然との調和をめざす「森林公園工場」と掲げている。
 約82万m2におよぶ敷地内には白州蒸溜所と天然水南アルプス白州工場がある。またウイスキーに関する広範な資料を展示したウイスキー博物館*や野鳥たちの保護区である「バードサンクチュアリ」が設けられている。同蒸溜所ではモルトウイスキーの仕込みから発酵、ポットスチルによる蒸溜、樽貯蔵までの製造工程を見ることができる。構内は自由見学*できるが、前日までの予約が必要。ウイスキーの製造工程の見学は有料*となる。併設する天然水南アルプス白州工場も無料のガイド付きツアーで見学が可能だが、事前予約が必要。
 近くにはかつての宿場町であった台ケ原の宿*があり、この地の名水を使用した日本酒の醸造元もある。
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みどころ

サントリーが山崎蒸溜所とは異なるタイプのモルトウイスキー原酒を求め、良質でウイスキーの仕込みに最適な水を探し求めた結果、この地に出会い開設したという。この地の水はほどよくミネラル分を含み、キレの良い軟水といわれ、ここで仕込まれた原酒は軽快で穏やかな味わいを持つという。製造工程の見学やテイスティングで、ウイスキーづくりの奥深さを知ることができ、興味深い。
 「森林公園工場」と謳っているだけあり、広大な工場は森に囲まれ、散策路も整備されており、野鳥観察もできる。また、2024(令和6)年秋にはレストランがオープンするほか、天然水の工場見学も可能なので、ファミリーでも十分に楽しむことができる。
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補足情報

*良質な水:甲斐駒ヶ岳、鳳凰三山から麓の工場にかけては、マグマが地下深くでゆっくりと冷えて固まった火成岩である花崗岩の地層が広がっている。この岩は水を含みやすい特徴を持ち、いわば天然の濾過装置となる。このため、甲斐駒ヶ岳や鳳凰三山で降った雨や雪がおよそ20年以上かけてくぐり抜けることによって、適度なミネラルを含む良質な水が湧出する。これをウイスキーやミネラルウオーターの製造に利用している。
*ウイスキー博物館:シングルモルトウイスキー「白州」誕生の歴史やモルトウイスキーづくりへの「こだわり」をはじめ、世界のウイスキーの歴史や文化に関し、展示、解説。
*自由見学:構内のウイスキー博物館やショップ、テイスティングラウンジ、バードサンクチュアリなどを含む場内にある施設を、自由に利用、見学できる。天然水工場の無料ツアーも含め、入場の事前予約はWEB、または電話から可能。
*有料ツアー:木桶発酵槽や様々な蒸溜釜、華やかな香り漂う貯蔵庫など、臨場感のあるウイスキー製造工程を、香りや温度の違いなどをガイド付きで見学できる。見学後はシングルモルトウイスキー「白州」や稀少なモルトウイスキー原酒(非売品)のテイスティングも楽しめる。予約はWEBから可能。
*台ケ原の宿:江戸時代に甲州街道の宿場として栄えた。今でも古い民家や蔵が点在し、情緒ある和菓子屋や酒蔵が並ぶ。酒蔵の「山梨銘醸」は江戸中期創業で天保年間の建築の店舗・母屋を遺す。
*小淵沢駅からシャトルバスで20分。工場営業日は毎日運行。タクシーでは15分ほど。
関連リンク サントリー白州蒸溜所(WEBサイト)
参考文献 サントリー白州蒸溜所(WEBサイト)
ほくとナビ「台ケ原宿」(WEBサイト)

2024年07月現在

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