雨の宮古墳群あめのみやこふんぐん

眉丈山(標高188m)の山頂を中心に、4世紀の中頃から5世紀の初めにかけて造られた古墳群で、現在、36基が発見されており、大部分が円墳である。最高所の通称雷ヶ峰に位置する1号墳は、墳丘長64mの前方後方墳としては県内最大規模とされる。2号墳は、1号墳の北東に、向き合って立地する墳丘長約65mの前方後円墳である。これら2つの古墳の墳丘は2段に築かれ、斜面は葺石(ふきいし)*で覆われている。いずれの古墳も被葬者は、古墳の規模・副葬品の内容などから考えて能登一円に支配権を及ぼした人物であったと推定されている。この2つの古墳の周辺には大小の円墳が築かれている。1986~1997(昭和61~平成9)年にかけて史跡整備が行われ、その際に実施された発掘調査により、1号墳からは特異な文様をもつ神獣鏡、鉄刀、鉄剣、鉄鏃、銅鏃、短甲などの武器類、車輪石、石釧などの石製腕飾りなど、能登の王墓にふさわしい副葬品が多数出土した。なお、古墳の名前の由来は、かつて1号墳の前方部墳頂に「雨の宮」と俗称される天日陰比咩神社の社殿が建てられ、雨乞いの神事が執り行われていたことによるとされる。
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みどころ

中能登町には雨の宮古墳群のほかにも、古墳時代をつうじて約600基以上の古墳が造られており、県内でも比較的古墳が多い地域とされている。また、町内には弥生時代中期の高地性集落跡で、「日本最古のおにぎり」と言われているチマキ状炭化米塊が出土した「杉谷チャノバタケ遺跡」や、能登の山岳信仰の霊場であった「石動山」など、古墳以外にも見どころは多い。
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補足情報

*葺石:主として古墳時代の墳墓の遺骸埋葬施設や墳丘を覆う外部施設の1つで、古墳の墳丘斜面などに河原石や礫石(れきいし)を積んだり、貼りつけるように葺(ふ)いたもの。(ウィキペディア)
*ボランティアガイドに案内してもらうこともできる(要事前連絡)。
関連リンク 中能登町(WEBサイト)
参考文献 中能登町(WEBサイト)
なかのと観光ナビ(中能登町)(WEBサイト)
ほっと石川旅ねっと(公益社団法人石川県観光連盟)(WEBサイト)
『中能登百物語』中能登町
『石川県の歴史散歩』石川県の歴史散歩編集委員会編 山川出版社

2023年08月現在

※交通アクセスや料金等に関する情報は、関連リンクをご覧ください。