岩間の噴泉塔群いわまのふんせんとうぐん

白山国立公園の地獄谷に源を発する中ノ川の上流域に点在しており、一帯は国の特別天然記念物に指定されている。温泉が噴出し、そのお湯に含まれる石灰質分が沈殿してできる石灰華が釣鐘状の塔を成してできるもので、高さ4mに達するものもある。先端の噴気孔から100度近くの熱湯が勢いよく吹き出し、2~3mの高さに湯煙を挙げているものも見られたという。噴泉塔の形状については、最初は噴泉が高くあがり坊主頭の型をして横に広がる。次の段階では噴泉が高くあがって噴泉塔が大きく太くなるが、やがて噴泉があまりあがらなくなり、流れるだけで頂上部がとがりはじめる。最後には噴泉が出なくなり、頂上部がとがるというように変化するとされている。噴泉塔の大きさは、噴泉の湧出量と噴きあがる高さで決まるのではないかと推定されている。成長のスピードは年間2cm程度といわれる。また、噴泉塔は縦に深緑色や緑色、黄白色の縞模様が見られるが、この色調の変化については、はじめは白い石灰華の色をしているが、噴泉塔の成長に伴って温泉成分を栄養とする藻類が成育して緑色や濃緑色が付着する。しかし、噴泉の活動が停止に近づくと藻類は死滅してうすい茶色となり、活動が停止すると雨なとで洗い流されて白い色になると言われている。噴泉塔の硬さは比較的やわらかくて、もろく壊れやすい。このため、冬季間の積雪や雪崩などで破壊されたものも多くある。
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みどころ

自然の力で作られた美しい芸術作品であり、塔の先端から熱湯が勢いよく吹き出す様は「白山の内に秘めた大地の息吹」を伝えているようである。噴き出した熱湯が湯煙となって川面に流れていく様など、噴出し方がおもしろい。渓谷を成している川沿いの景色もよい。噴泉塔群の近くは天然の露天風呂となるが、熱湯でやけどをする危険もあり注意が必要である。
 周辺一帯は白山国立公園内であり、対象物は国指定特別天然記念物でもあるため、探勝にあたっては周辺環境を含めて自然保全に十分留意する必要がある。
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補足情報

*探勝は、新岩間温泉からから林道と登山道を約5km遡るが、歩くと片道2時間程度かかる険しい山道を辿ることになる。2020(令和2)年10月時点では、がけ崩れのため通行禁止となっている。また、噴泉塔の現状については、「周辺では現在も温泉は噴出していますが、塔状のものにおいては、大雨、雪崩等の自然災害にて壊滅的な被害を受けており、自己修復が待たれています。」(白山市HP)とされている。
関連リンク 白山市(WEBサイト)
参考文献 白山市(WEBサイト)
『岩間噴泉塔群の調査』紙谷威/米田昭二郎/山崎豊 日本海域研究所報告 金沢大学
『日本の大自然・白山国立公園』 森田 敏隆 (写真) 毎日新聞社

2023年08月現在

※交通アクセスや料金等に関する情報は、関連リンクをご覧ください。