白山
富士山・立山と並ぶ三名山の一つ。火山としては比較的小規模だが、白山火山帯の主峰として、山域は石川・富山・岐阜・福井の4県にまたがっている。万年雪を頂いた優美な姿は、古くから信仰の対象として仰がれ、越のしらね、しらやまと古歌*に詠まれてきた。最高峰は御前峰*(2,702m)で、北西の大汝(おおなんじ)峰*(2,684m)、北東の剣ヶ峰(2,677m)の3峰を主峰とし、南に別山(2,399m)、三ノ峰などが連なる。北麓を走る「白山白川郷ホワイトロード」*以外はほとんど未開発で日本で唯一の荒れていない山といわれ、広大な原生林が山腹を覆い、野鳥や高山植物も多く、生物の分布上貴重な山である。山頂からの展望は、眼下に火口湖やお花畑が展開し、東に乗鞍・御嶽を望み、東から北にかけて雲海の彼方に北アルプスの山々が連なり、空気が澄んでいる日には西側に加賀平野や日本海を一望できる。
〔四季と登山〕・季節風をまっこうに受け、深い雪に閉ざされた冬が終わると、春は山麓から始まる。4~5月、山麓から中腹にかけての原生林がいっせいに芽立つ。山頂部の雪どけは6月末。信仰登山の山として長い歴史をもつが、現在は7月1日の夏山開きが、一般的な登山シーズンの開幕。ただし、7月中旬ごろまでは梅雨期で、天候が比較的安定する7月中旬~8月中旬が、高山植物の開花期にもあたり最適である。高山植物は6~8月にかけて、あちこちで多彩なお花畑が展開する。古くから信仰の山であり、832(天長9)年に、越前・加賀・美濃の三方から白山(御前峰)への登拝道(禅定道)が開かれ,現在も大部分が登山道として利用されている。その周辺の山々へのものを含めて多くの登山道があり、初心者から上級者向けのさまざまなコースがある。白山の主峰である御前峰や別山といった2,000mを超える山々に上るためには中級程度以上の経験が必要とされる。日程的には日帰りも可能とされるが、山頂からご来光を仰ぐためには1泊2日かかることになる。山頂への登山道としては、市ノ瀬口の別当出合から登る砂防新道(さぼうしんどう)が、交通の便がよく徒歩区間も短いもっとも一般的なコースとされる。周辺の山々へのコースには、2~3時間でパノラマ展望が楽しめる三方岩岳や猪鼻山などへのハイキングコースもある。9~10月、紅葉が山麓から中腹一帯を染めあげ秋の行楽シーズンを迎える。初冠雪は平年で10月7日前後。頂上は次第に根雪となり11月上旬からは完全な冬であり、冬季には中腹にスキー場がオープンする。
〔動植物〕哺乳類は岩間・中宮方面のブナ帯に棲むニホンザルのほか、カモシカ・リス・ツキノワグマ・ムササビなどが生息している。野生鳥類は、高山帯にはイワヒバリをはじめとした高山性の鳥類、ブナ林ではコマドリ、コノハズク、ツツドリなどの森林性の夏鳥の多くが繁殖する。イヌワシ、クマタカなどの猛禽類の生息地は広範囲にわたる。
植物については、高山帯植生がみられる山としてはわが国の西端に位置することから、白山を分布の西端としている 植物種はハイマツ、クロユリ、ハクサンコザクラ、アオノツガザクラなど100種類を越える。学名や和名、別名がハクサンの名にちなんだものも多い。山麓から中腹にかけては、ブナの原生林が発達し、標高1500m前後を限界として、ダケカンバ・アオモリトドマツなどの樹林帯が広がる。
〔四季と登山〕・季節風をまっこうに受け、深い雪に閉ざされた冬が終わると、春は山麓から始まる。4~5月、山麓から中腹にかけての原生林がいっせいに芽立つ。山頂部の雪どけは6月末。信仰登山の山として長い歴史をもつが、現在は7月1日の夏山開きが、一般的な登山シーズンの開幕。ただし、7月中旬ごろまでは梅雨期で、天候が比較的安定する7月中旬~8月中旬が、高山植物の開花期にもあたり最適である。高山植物は6~8月にかけて、あちこちで多彩なお花畑が展開する。古くから信仰の山であり、832(天長9)年に、越前・加賀・美濃の三方から白山(御前峰)への登拝道(禅定道)が開かれ,現在も大部分が登山道として利用されている。その周辺の山々へのものを含めて多くの登山道があり、初心者から上級者向けのさまざまなコースがある。白山の主峰である御前峰や別山といった2,000mを超える山々に上るためには中級程度以上の経験が必要とされる。日程的には日帰りも可能とされるが、山頂からご来光を仰ぐためには1泊2日かかることになる。山頂への登山道としては、市ノ瀬口の別当出合から登る砂防新道(さぼうしんどう)が、交通の便がよく徒歩区間も短いもっとも一般的なコースとされる。周辺の山々へのコースには、2~3時間でパノラマ展望が楽しめる三方岩岳や猪鼻山などへのハイキングコースもある。9~10月、紅葉が山麓から中腹一帯を染めあげ秋の行楽シーズンを迎える。初冠雪は平年で10月7日前後。頂上は次第に根雪となり11月上旬からは完全な冬であり、冬季には中腹にスキー場がオープンする。
〔動植物〕哺乳類は岩間・中宮方面のブナ帯に棲むニホンザルのほか、カモシカ・リス・ツキノワグマ・ムササビなどが生息している。野生鳥類は、高山帯にはイワヒバリをはじめとした高山性の鳥類、ブナ林ではコマドリ、コノハズク、ツツドリなどの森林性の夏鳥の多くが繁殖する。イヌワシ、クマタカなどの猛禽類の生息地は広範囲にわたる。
植物については、高山帯植生がみられる山としてはわが国の西端に位置することから、白山を分布の西端としている 植物種はハイマツ、クロユリ、ハクサンコザクラ、アオノツガザクラなど100種類を越える。学名や和名、別名がハクサンの名にちなんだものも多い。山麓から中腹にかけては、ブナの原生林が発達し、標高1500m前後を限界として、ダケカンバ・アオモリトドマツなどの樹林帯が広がる。
みどころ
JR北陸本線に乗ると、松任駅から加賀温泉駅までのあたりで車窓から白山が遠望できる。とくに「雪を頂く白山の美しさはまた、神々しさのシンボルとして崇められた」といえるように、見る人の心をひきつけてやまない。こうした遠望もよいが、白山は懐の深い山である。懐が深いということは、単に山容が大きくすそ野が広いということだけではない。数多くの動植物、白山に源を発する河川が作る峡谷や滝、温泉、山の民の暮らし、スキー場などのレクリエーション施設、信仰に基づく歴史性や人々に感動や崇拝観を与える神秘性など、いろいろな面で大きさや美しさなどを感じさせる山である。こうした「懐の深さ」は「名山」、しかも「三名山」といわれるような上位に位置づけられるものに共通していることかもしれない。白山はまさにそれに値する山といえる。したがって、白山のみどころや楽しみ方はいろいろある。一般的な観光レクリエーション利用を考えると、山麓や山腹に点在する温泉、白山白川郷ホワイトロード沿いに見られる多くの滝や白山などの眺望スポットは、新緑や秋の紅葉の時期はとくに素晴らしい。冬季は「白山一里野温泉スキー場」などのスキー場が開設される。また、登山の対象としては、日帰りから1泊2日など多くの登山コースがある。もちろん、信仰の山としての霊山としての魅力もある。このように、四季や歴史性を通じて多くのみどころや楽しみ方がある。
補足情報
*古歌:「君がゆく越の白山しらねとも雪のまにまに跡はたづねん」紀貫之・古今集
*御前峰:石川・岐阜の県境にそびえる白山の最高峰で、山頂には白山比咩神社の奥宮が祭られている。四方の眺望に優れ、白馬岳・剣岳・立山・穂高・乗鞍などの山々を一望できる。とくに御来光がすばらしい。
*大汝峰:石川県と岐阜県の境界に位置する白山第2の高峰で頂上に大汝神社がある。北側はハイマツの大群落が広がる。岩間道と中宮道の尾根筋にはさまれた中ノ川上流には、地獄谷がすさまじい崩壊の様相を見せる。
*白山白川郷ホワイトロード:正式には白山林道(はくさんりんどう)。2015(平成27)年4月1日より愛称を「白山スーパー林道」から「白山白川郷ホワイトロード」に変更した。石川県白山市尾添と岐阜県大野郡白川村鳩谷を結ぶ、延長33.3kmの有料道路である。沿道に「ふくべの大滝」や「姥ケ滝」などの多くの滝や、「白山展望台」や「国見展望台」などの眺望スポットがあり、景観に恵まれている。冬季は通行止めになる。
*御前峰:石川・岐阜の県境にそびえる白山の最高峰で、山頂には白山比咩神社の奥宮が祭られている。四方の眺望に優れ、白馬岳・剣岳・立山・穂高・乗鞍などの山々を一望できる。とくに御来光がすばらしい。
*大汝峰:石川県と岐阜県の境界に位置する白山第2の高峰で頂上に大汝神社がある。北側はハイマツの大群落が広がる。岩間道と中宮道の尾根筋にはさまれた中ノ川上流には、地獄谷がすさまじい崩壊の様相を見せる。
*白山白川郷ホワイトロード:正式には白山林道(はくさんりんどう)。2015(平成27)年4月1日より愛称を「白山スーパー林道」から「白山白川郷ホワイトロード」に変更した。石川県白山市尾添と岐阜県大野郡白川村鳩谷を結ぶ、延長33.3kmの有料道路である。沿道に「ふくべの大滝」や「姥ケ滝」などの多くの滝や、「白山展望台」や「国見展望台」などの眺望スポットがあり、景観に恵まれている。冬季は通行止めになる。
関連リンク | 石川県(WEBサイト) |
---|---|
参考文献 |
石川県(WEBサイト) 『石川県の山』金沢ふるさと愛山会著 山と渓谷社 『日本の大自然8 白山国立公園』毎日新聞社 『北陸新幹線沿線パノラマ地図帳』能登印刷出版部 |
2023年08月現在
※交通アクセスや料金等に関する情報は、関連リンクをご覧ください。