篠原演芸場で上演される大衆演劇
JR十条駅・東十条駅のそれぞれから、楽しい商店街を見ながら、10分ほど歩いたところにある篠原演芸場は、1951年(昭和26年)に開業した、都内で最も歴史のある本格的な大衆演劇*の劇場*である。ここでは、一般社団法人 日本文化大衆演劇協会に所属する劇団*と、関西、九州所属の劇団が、月替わりで芝居や舞踊、ときには歌謡ショーを行う。開場から70年という地域に根づいた下町の演劇場であり、1998(平成10)年には劇場前の中央商店街の通りの名が演芸場通りに変更された。劇場に向かって左には道を挟んで大道具倉庫および大道具制作部があり、そのまま舞台に搬入できる仕様となっている。運営する篠原演劇企画は1977(昭和52)年7月より、同じく大衆演劇場である浅草木馬館の運営事業も行っている。
歌舞伎から枝分かれしてできた大衆演劇は、形にはまったものはなく、古典的芝居、舞踊、歌謡などいろいろなことを幅広くできるのが魅力。最近は台本稽古もふえてきたが、台本がなく、セリフと動きと流れを口で説明しながら芝居を立てていく「口立て稽古」が特色である。浪曲劇、剣劇と独自のレパートリーを広げながら、庶民の熱狂的な支持をとりつけたのは、1935(昭和10)年から1960(昭和35)年までの25年間だった。この期間、連日連夜、鮨詰めの満員、長蛇の列で黄金時代を謳歌したが、テレビの普及、レジャーの多様化などの荒波をかぶり、凋落の一途をたどった。ところが1980(昭和55)年頃より、「下町の玉三郎」こと梅沢富美男が脚光を浴び、大衆演劇界はにわかに活況に転じた。若手座長も登場してきて、常打ち(じょううち)劇場には若いファンも目立つようになってきた。客と演者との距離が近くて垣根がなく、客席の盛り上がり方で同じ演目でも違って見えるのも、大衆演劇の面白さである。
歌舞伎から枝分かれしてできた大衆演劇は、形にはまったものはなく、古典的芝居、舞踊、歌謡などいろいろなことを幅広くできるのが魅力。最近は台本稽古もふえてきたが、台本がなく、セリフと動きと流れを口で説明しながら芝居を立てていく「口立て稽古」が特色である。浪曲劇、剣劇と独自のレパートリーを広げながら、庶民の熱狂的な支持をとりつけたのは、1935(昭和10)年から1960(昭和35)年までの25年間だった。この期間、連日連夜、鮨詰めの満員、長蛇の列で黄金時代を謳歌したが、テレビの普及、レジャーの多様化などの荒波をかぶり、凋落の一途をたどった。ところが1980(昭和55)年頃より、「下町の玉三郎」こと梅沢富美男が脚光を浴び、大衆演劇界はにわかに活況に転じた。若手座長も登場してきて、常打ち(じょううち)劇場には若いファンも目立つようになってきた。客と演者との距離が近くて垣根がなく、客席の盛り上がり方で同じ演目でも違って見えるのも、大衆演劇の面白さである。

みどころ
大衆演劇に限らず、こうした催しものは、演目と特別出演者を含めた劇団によって集客が大きく変化するので、予約をすすめたい。畳敷きの1階は300円払うと椅子・座布団席になり、椅子席は58。2階の収容人数は約25名であるが、1階が満員になってからの使用になる。
篠原演芸場では、土曜・日曜・祭日以外に、これまで原則夜の部だけだった平日も、現在では昼の部の公演が行われている。
劇場内では軽飲食の販売を行っている。場内で炊いたご飯の手作りおにぎりは劇場名物となっており、1日500個ほど販売する。かつてはスタッフが自宅で握り、保温容器で劇場まで届けていたが、2000(平成12)年前後より劇場内の調理場で炊き、握る形に変更した。缶ビールも販売しており、ビールを飲みながら鑑賞できる。
篠原演芸場のある十条中央商店街の近くには、十条銀座商店街や十条仲通り商店街がある。全国的にシャッター街がふえている今日、これほど多くの店舗があり賑わっているところは珍しい。店を見るだけでも楽しい商店街なので、公演の前後にぜひ商店街歩きをすることをすすめたい。
篠原演芸場では、土曜・日曜・祭日以外に、これまで原則夜の部だけだった平日も、現在では昼の部の公演が行われている。
劇場内では軽飲食の販売を行っている。場内で炊いたご飯の手作りおにぎりは劇場名物となっており、1日500個ほど販売する。かつてはスタッフが自宅で握り、保温容器で劇場まで届けていたが、2000(平成12)年前後より劇場内の調理場で炊き、握る形に変更した。缶ビールも販売しており、ビールを飲みながら鑑賞できる。
篠原演芸場のある十条中央商店街の近くには、十条銀座商店街や十条仲通り商店街がある。全国的にシャッター街がふえている今日、これほど多くの店舗があり賑わっているところは珍しい。店を見るだけでも楽しい商店街なので、公演の前後にぜひ商店街歩きをすることをすすめたい。

補足情報
*大衆演劇:かつては旅芝居、小芝居、寄席芝居あるいはドサ回りとも呼ばれ、小規模な一座で、常打ち劇場や地方の温泉地・旅館で公演する演劇の総称をいう。
*劇場:一般社団法人大衆演劇劇場に加盟する劇場は33。大衆演劇の専門誌「演劇グラフ」に掲載されている1月・2月の常打ち劇場・センター(温泉施設やホテル旅館など)は全国で96カ所に上る。ほかに不定期公演の施設が13か所である。
*劇団:関東、関西、九州を拠点に、155劇団がある(「演劇グラフ2022年2月」)。一座の座員数は、一桁台から25名前後までと様々だが、大半は座長の家族が占める。少人数ゆえの強い結束で、芝居、舞踊・歌謡ショーの約3時間半の舞台を日替わりで上演する。大衆劇団は日替わりで演目を組むため、芝居は平均で300本、多い劇団で600本もの演目を有する。演目は、義理人情、勧善懲悪、忠義孝行をテーマにした時代人情劇が中心で多彩である。そのため役者たちは、立役、仇役、老役、女形を一通りこなすようになっている。
*劇場:一般社団法人大衆演劇劇場に加盟する劇場は33。大衆演劇の専門誌「演劇グラフ」に掲載されている1月・2月の常打ち劇場・センター(温泉施設やホテル旅館など)は全国で96カ所に上る。ほかに不定期公演の施設が13か所である。
*劇団:関東、関西、九州を拠点に、155劇団がある(「演劇グラフ2022年2月」)。一座の座員数は、一桁台から25名前後までと様々だが、大半は座長の家族が占める。少人数ゆえの強い結束で、芝居、舞踊・歌謡ショーの約3時間半の舞台を日替わりで上演する。大衆劇団は日替わりで演目を組むため、芝居は平均で300本、多い劇団で600本もの演目を有する。演目は、義理人情、勧善懲悪、忠義孝行をテーマにした時代人情劇が中心で多彩である。そのため役者たちは、立役、仇役、老役、女形を一通りこなすようになっている。
関連リンク | 十条 篠原演芸場(有限会社篠原演劇企画)(WEBサイト) |
---|---|
参考文献 |
十条 篠原演芸場(有限会社篠原演劇企画)(WEBサイト) 「大衆文化事典」大衆演劇 弘文堂 「演劇グラフ」 2022年2月 Vol.248 |
2025年06月現在
※交通アクセスや料金等に関する情報は、関連リンクをご覧ください。