六義園りくぎえん

JRと東京メトロ駒込駅の南側にあり徒歩7分で到達する。園内は8万7,809m2の回遊式築山泉水庭園である。
 六義園は1695(元禄8)年に柳澤吉保*が、徳川5代将軍綱吉から拝領した土地を自ら設計、7年あまりの歳月をかけて築造した名園である。六義園の名は、庭園の風致を詩歌の六義*になぞらえて吉保自身が命名したという。吉保の死後は荒廃していたが、明治のはじめに三菱財閥の祖、岩崎彌太郎氏の別邸となり、園景の修復が行われ、1938(昭和13)年には岩崎家から東京市へ寄贈された。
 木立の深い園内は池をめぐって園路が通じ、宜春亭は茶室として、心泉亭は集会場として利用できる。
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みどころ

正門から入り内庭大門をくぐると現れる庭園では、大木のシダレザクラが見事。開花時期にライトアップされる姿は圧巻だ。
 庭園は中の島を有する大泉水*を樹林が取り囲み、紀州(現在の和歌山県)和歌の浦の景勝や和歌に詠まれた名勝の景観が数多くつくられている。柳澤吉保が庭の完成後、「六義園八十八境」を定めたもの。和歌の名所が大半であり、理解の深い人には感慨深いものがあるという。
 大泉水を巡ると見どころが続く。入り口を入って大泉水の池畔に出ると、中の島にある妹山・背山*(いものやま・せのやま)と常盤・堅磐(かきわ)の岩などを眺めることができる。眺望に恵まれた出汐湊(でしおみなと)の池畔に出ると、中の島、蓬莱島、対岸に吹上浜が眺められる。さらに進み渡月橋を渡り築山の藤代峠に向かうと大泉水の美しい俯瞰が楽しめる。その後、つつじ茶屋、吹上浜にある吹上茶屋、滝見茶屋を経由して内庭大門の出入り口に戻ってくる。
 旧古河庭園がそれほど遠くないので、合わせて訪れることもお勧めである。
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補足情報

*柳澤吉保:1658~1714 5代将軍綱吉の側近。綱吉の側用人として活躍、たびたび加増を受け、川越藩主、老中格となり、1704(宝永元)年甲府藩(現・山梨県甲府市)の大名となる。その後大老格となり、綱吉の死後は六義園に隠居。
*六義:中国の詩経大序にある賦・比・興・風・雅・頌。和歌では、そえ歌・かぞえ歌・なずらえ歌・たとえ歌・ただこと歌・いわい歌の6種の歌体をいう。
*泉水:造園用語。自然の泉を利用するか、人工的に水を引いて、庭園や広場などに噴水、流水、落水、池などを設けたもの。小石川後楽園、清澄公園などに見られる。
*妹山・背山:古くは女性のことを妹(いも)、男性のことを背(せ)と呼んでおり、この中の島は男女の間柄を表現したもの。
関連リンク 公益財団法人東京都公園協会(WEBサイト)
参考文献 公益財団法人東京都公園協会(WEBサイト)
GO TOKYO 東京の観光公式サイト(WEBサイト)

2025年06月現在

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