日本銀行本店本館にっぽんぎんこうほんてんほんかん

JR東京駅から徒歩8分、東京メトロ三越前駅から徒歩5分にある日本銀行本店本館は、日本の建築史における重要な建物で、1974(昭和49)年に国の重要文化財に指定された。
 日本銀行は、1882(明治15)年に隅田川に架かる永代橋のたもとで開業し、開業当初は旧北海道開拓使物産売捌所の建物を借用した。この建物はイギリス人ジョサイア・コンドル*の設計によるレンガ造りの2階建てで、1881(明治14)年に建築されたものであった。この店舗は手狭で都心からやや離れていたため、開業翌年に本店の移転が決まり、江戸時代の金座*の跡地が移転先に選ばれた。新しい本店は辰野金吾*により設計された。設計にあたり欧米で銀行建築を調査し、ベルギー国立銀行やイングランド銀行から学び、1890(明治23)年9月に着工、約6年の歳月をかけて1896(明治29)年2月に竣工した。地下1階地上3階建て、古典主義様式の石積みレンガ造りの建物で、日本人建築家による最初の国家的近代建築である。
 なお、1930年代(昭和5~14年)に、長野宇平治*による設計で、本館の外観を踏襲した1号館、2号館、3号館が完成した。その後、1号館は取り壊され、1973(昭和48)年に新館が建設された。
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みどころ

本館の外壁は地下階と1階には花崗岩が、2階以上には安山岩が積み上げられ、屋根の中央に据えたられたドームや中庭に配置された列柱などは大変優雅である。本館の地下金庫、旧営業場、展示室は、ガイドによる解説付きで見学ができる。事前予約制のため、詳細は日本銀行ホームページで確認を。中庭の列柱、ドームの内側に施されたデザイン、彫刻のあるドアの金具など、独自性の高い意匠が随所に見られる。
 本館前の貨幣博物館では、貨幣や貨幣に関する歴史的、文化的資料が公開され、大変興味深い。本館の見学と合わせて訪問することをお勧めする。
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補足情報

*ジョサイア・コンドル Josiah Conder:1852-1920年。イギリス人。ロンドン大学で設計を学び、1877(明治10)年に来日。東京に建築事務所を設け、日本の洋風建築に大きな影響を与えた。鹿鳴館、ニコライ堂、岩崎邸などが代表作である。
*金座:江戸時代の大判を除く金貨幣の鋳造所。1595(文禄4)年に徳川家康が京都の鋳金師、後藤庄三郎光次に小判を鋳造させたことに始まる。1869(明治2)年に造幣局が新設されるまで続いた。
*辰野金吾:1854-1919年。明治・大正の建築家。ジョサイア・コンドルの教えを受けた工部大学校造家学科(現 東京大学工学部)の一回生。東京帝国大学工科大学教授。主になる設計は200にもおよび、代表作に東京駅、日本銀行などがある。仏文学者辰野隆の父。
*長野宇平治:1867-1937年。辰野金吾の弟子として知られ、辰野の没後、本店の増築のほか5つの支店を手掛けた。
関連リンク 日本銀行(WEBサイト)
参考文献 日本銀行(WEBサイト)

2025年06月現在

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