朝倉彫塑館
台東区谷中、JR日暮里駅から徒歩5分にある朝倉彫塑館*1。彫刻家、朝倉文夫(1883(明治16)年~1964(昭和39)年)のアトリエ兼住居を美術館として公開、その作品を展示している。朝倉文夫*2は、フランスのオーギュスト・ロダンが日本の美術全体に影響を与えた大正から昭和初期の時代に、高村光太郎と並んで日本の美術界を代表する彫刻家として活躍した。そのかたわら朝倉彫塑塾を主宰し、後進の指導にもあたった。その指導の場であったアトリエ兼住居が1967(昭和42)年に遺族により朝倉彫塑館として公開された。1986(昭和61)年に台東区に移管され、現在は公益財団法人台東区芸術文化財団が管理・運営を行っている。
朝倉は建物や庭園の細部にこだわりを見せており、自ら設計した数寄屋造を基調とした木造住居部分、水と配石にこだわった中庭、電動昇降台を備えた鉄筋コンクリート造のアトリエ部分、屋上庭園など敷地全体が「旧朝倉文夫氏庭園」として国の名勝に指定されている。また、建物は有形文化財に登録されている。
朝倉は建物や庭園の細部にこだわりを見せており、自ら設計した数寄屋造を基調とした木造住居部分、水と配石にこだわった中庭、電動昇降台を備えた鉄筋コンクリート造のアトリエ部分、屋上庭園など敷地全体が「旧朝倉文夫氏庭園」として国の名勝に指定されている。また、建物は有形文化財に登録されている。

みどころ
朝倉文夫の作品は自然主義的な写実が特徴である。また、多くの肖像彫刻を制作したことで知られている。朝倉彫塑館には代表作である「墓守」(1910、重要文化財)や女性像の「時の流れ」(1917)、「三相」(1950)、肖像彫刻の「大隈重信像」(1932)、「小村寿太郎像」(1938)などが明るい吹き抜けのアトリエに展示されている。また、動物彫刻も多く制作しており、「臥たるスター」(1919)、「ペンギン」(1936)、そして猫好きだった朝倉が各年代を通して制作した猫作品が展示されている。
これらの彫刻が、朝倉が日々制作に励んだ暖かみのあるアトリエ空間や実際に生活していた居住空間に、内装装飾や家具・調度品と一体となって存在する。主な彫刻はアトリエに展示されているが、様々な姿態を見せる多数の猫の彫刻作品は、サンルームとして使われていた明るい「蘭の間」に展示されている。
彫刻作品を鑑賞したあと、住居部分を巡ってみると、書斎や応接、寝室には朝倉が蒐集した工芸品が展示されており、また、茶室や寝室からは中庭を眺めることができる。屋上は自然主義を標榜する朝倉が菜園としていたが、現在は庭園となっている。さらに前庭や屋根上には、屋外展示の彫刻もある。このように、全体を通して朝倉文夫の世界を感じられることがここの魅力である。
展示作品は随時、展示替えが行われる他、特別展やイベントも開催されている。事前に調べて行くとより楽しめるだろう。人気の観光スポット谷中銀座商店街は歩いて5分、上野公園までも歩いて15~20分ほど。上野周辺には朝倉文夫の作品が数点、設置*3されている。散策がてら探してみるのも一興である。
これらの彫刻が、朝倉が日々制作に励んだ暖かみのあるアトリエ空間や実際に生活していた居住空間に、内装装飾や家具・調度品と一体となって存在する。主な彫刻はアトリエに展示されているが、様々な姿態を見せる多数の猫の彫刻作品は、サンルームとして使われていた明るい「蘭の間」に展示されている。
彫刻作品を鑑賞したあと、住居部分を巡ってみると、書斎や応接、寝室には朝倉が蒐集した工芸品が展示されており、また、茶室や寝室からは中庭を眺めることができる。屋上は自然主義を標榜する朝倉が菜園としていたが、現在は庭園となっている。さらに前庭や屋根上には、屋外展示の彫刻もある。このように、全体を通して朝倉文夫の世界を感じられることがここの魅力である。
展示作品は随時、展示替えが行われる他、特別展やイベントも開催されている。事前に調べて行くとより楽しめるだろう。人気の観光スポット谷中銀座商店街は歩いて5分、上野公園までも歩いて15~20分ほど。上野周辺には朝倉文夫の作品が数点、設置*3されている。散策がてら探してみるのも一興である。

補足情報
*1. 「彫塑」とは朝倉文夫の恩師であった大村西崖がsculptureの訳語として提唱した言葉である。「彫刻」は材料を彫り刻んでいく技法(carving)であるが、「塑造」は粘土等をつけたり削ったりしてかたちづくる技法(modeling)。さらに石膏で型取りして金属像とすることが多い。両者の技法を総じて「彫塑」とした。現在では彫刻という言葉が一般的に使用されている。
*2. 故郷の大分県豊後大野市に市立・朝倉文夫記念館が1991(平成3)年に開館しており、朝倉の作品50点前後が展示されている。
*3. 朝倉文夫は台東区の名誉区民であり、その作品は上野周辺では以下のところに屋外展示されている。JR上野駅構内16番線「三相」、同中央改札外「翼」、上野恩賜公園の旧東京音楽学校奏楽堂「瀧廉太郎像」、台東区下町風俗資料館脇「生誕」。
*2. 故郷の大分県豊後大野市に市立・朝倉文夫記念館が1991(平成3)年に開館しており、朝倉の作品50点前後が展示されている。
*3. 朝倉文夫は台東区の名誉区民であり、その作品は上野周辺では以下のところに屋外展示されている。JR上野駅構内16番線「三相」、同中央改札外「翼」、上野恩賜公園の旧東京音楽学校奏楽堂「瀧廉太郎像」、台東区下町風俗資料館脇「生誕」。
関連リンク | 朝倉彫塑館(公益財団法人台東区芸術文化財団)(WEBサイト) |
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参考文献 |
朝倉彫塑館(公益財団法人台東区芸術文化財団)(WEBサイト) 「東京のミュージアム100」芸術新潮編集部編 新潮社 「全国博物館総覧」日本博物館協会編 ぎょうせい |
2025年06月現在
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