江戸東京たてもの園(東京都江戸東京博物館分館)えどとうきょうたてものえん(とうきょうとえどとうきょうはくぶつかんぶんかん)

JR武蔵小金井駅北口、西武新宿線花小金井駅南口のいずれからもバスで5分の「小金井公園西口」で下車し、徒歩5分。小金井公園*の中にある。
 1993(平成5)年、東京都が江戸東京博物館の開館に合わせ、博物館の分館として開設した施設で、敷地面積は約7万m2。現地保存が不可能な文化的価値の高い歴史的建造物を移築して復元・保存・展示し、次代に継承することを目指している。開園当初は復元棟数12棟であったが開園20年後の2013(平成25)年には30棟目が公開された。
 園内は3つのゾーンに分けられ、西ゾーンでは田園調布の家など山の手の住宅と武蔵野の農家、センターゾーンでは高橋是清*邸などの格式ある歴史的建造物が並び、東ゾーンでは銭湯や居酒屋、万世橋交番など下町のまちなみが再現されている。また園内には、八王子の穀倉や都電7500形などの屋外展示物も数多く並んでいる。
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みどころ

広大な小金井公園のなかに立地していることもあり、緑豊かな自然に囲まれて心休まる空間となっている。数々の花々*が季節ごとに楽しめる。江戸東京たてもの園の正面出入口には、歴史的建造物の「光華殿」を改修したビジターセンターがある。ビジターセンター内にはインフォメーション、導入展示(多目的ホール)、図書コーナーのほか、ミュージアムショップなどがあり、ここで情報やマップを入手して園内を巡りたい。
 一棟一棟が貴重な建物であり、建築年代や建物が利用された用途に合わせて室内の展示も行われており、当時の生活文化が再現されている。格式ある歴史的建造物もさることながら、興味深いのは下町のまちなみが再現されているエリアである。醤油店、文具店、乾物屋、旅館などが立ち並ぶ下町通りが楽しめる。特に昭和世代の人々は感激するだろう。都電と南佐久間町*の停車場などもあり、懐かしさを覚える。
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補足情報

*小金井公園:玉川上水沿いにある、面積約80万m2の広大な公園。もとは1940(昭和15)年の紀元2600年記念事業で計画された小金井大緑地で、戦後、東宮御仮寓所に使用され、1954(昭和29)年に都市公園として開園した。
*高橋是清:1854(嘉永7/安政元)年 - 1936(昭和11)年。第20代内閣総理大臣。日露戦争の戦費調達のための外債募集を成功させたことで、近代日本を代表する財政家として知られることから、総理大臣としてよりも、大蔵大臣としての評価の方が高い。
*園内に咲く花々:ムラサキハナナ、ヤマブキ、ユキヤナギ、シャガ、シダレザクラ、サトザクラ、ミツバツツジ、アジサイ、ウメ、ノムラモミジ、ユリ、ヒガンバナ、キンモクセイ、白梅、カタクリ、サンシュユなど。
*南佐久間町:現在の港区西新橋一丁目付近。