渋谷
JR山手線と埼京線、京王井の頭線、東急線2線と東京メトロ3線が乗り入れるターミナル駅を中心とする渋谷は、新宿・池袋と並ぶ都内有数の繁華街。武蔵野台地を侵食する渋谷川と宇田川の合流点にあるため、谷底の街となっており、谷の低地に渋谷駅が位置する。そのため、宮益坂や道玄坂など坂道が多い。もともと渋谷駅構内はわかりにくかったが、2015(平成27)年に始まり、2027(令和9)年の完成を目指す再開発プロジェクトの工事のために、さらに複雑になっている。わかりにくさの最大の理由は、地上3階、地下5階という8階分の上下構造のうえに、迂回路が多いためだ。待ち合わせの定番は、駅のハチ公口から出たところにあるハチ公*前。その前方が、世界的にも有名なスクランブル交差点である。
渋谷は、時々刻々と変化している。1934(昭和9)年に東急東横線の駅舎と一体となった東急百貨店東横店が関東初の私鉄直営ターミナルデパートとして誕生して以降、東急の街とされていたが、1968(昭和43)年に西武百貨店渋谷店が進出すると、両社のグループがせめぎあって渋谷の魅力づくりを推進していった。顕著な変化が訪れたのは、1973(昭和48)年。西武系の渋谷パルコの開業を機に、「公園通り」、「スペイン坂」、「オルガン坂」などの名称がつけられ、以来、渋谷は新宿にとって代わって、若者の街と位置づけられるようになった。1991(平成3)年、バブル崩壊とともに流行を担うメインストリームが女子大生から女子高校生に移ってからは、人気ブランドを取り入れた「SHIBUYA109」が10代~20代前半の若者の聖地に。そして、1993(平成5)年に渋谷パルコの1階にTOKYO FMが開局されると、若者への情報発信力が一層強まったことで若者の渋谷流入に拍車がかかり、逆に大人の渋谷離れが目立っていった。
このファッションストリームと並行して起こったのが、「渋谷計画1985」である。1982(昭和57)年に、渋谷を本格的な文化の発信基地にすべく、委員会が発足。先陣を切って1989(平成元)年にオープンしたのがBunkamuraだった。美術館やコンサートホール、劇場や映画館などを擁する大型複合文化施設で、隣接の東急百貨店本店も文化力を強化。「東急本店通り」は「文化村通り」に改称され、1998(平成10)年には、文化村通りの坂上に大型書店ブックファーストが開業し、一帯が文化ゾーンとなった。しかし、開業から34年後の2023(令和5)年、東急百貨店本店の閉店と建て替え計画「渋谷アッパー・ウエスト・プロジェクト」に伴い、Bunkamuraはコンサートホールの「オーチャードホール」を除いて長期休館に。2027年度までにすべてを取り壊し、「Tokyo's Urban Retreat」をコンセプトにした36階建ての新複合施設に変身する。
一方、渋谷駅周辺では、2000(平成12)年前後から再開発がスタートした。渋谷にはオフィスとホテルが十分でないことが、「大人不在」の要因になったのでは、という観点から始まった計画である。
第一弾が、1997(平成9)年に完成した「パサージュガーデン」。渋谷駅の南側、山手線と東急東横線とに挟まれたJR渋谷駅貨物跡地に立つ、約1万1,500m2の新たなビジネス拠点である。翌年には、20階と21階に住居区画をもつ21階建ての高層オフィスタワー「渋谷インフォスタワー」が誕生した。
第二弾は、2000(平成12)年春、京王井の頭線渋谷駅上部に竣工した「渋谷マークシティ*」。高さ95.55mと99.67mのツインタワーで、渋谷エクセルホテル東急とオフィス棟が入る複合ビルである。
第三弾は、2001(平成13)年春、渋谷駅南西の桜丘町に完成した「セルリアンタワー」。高さ184m、41階建て。4階から16階までがオフィス、17階から37階までが東急ホテル、38階がレジデンシャルフロア、39階が会議室、40階がレストランとなっている。同年には、渋谷駅新南改札からすぐの場所に16階建てのJR東日本系列「ホテルメッツ渋谷」も開業。この3か所でホテルの客室数は1,000室を超えた。一方、1969(昭和44)年から渋谷のアンダーグラウンド芸術の文化を育ててきた小劇場ジァンジァンが、2000(平成12)年に閉鎖となった。
第四弾は、2012(平成24)年開業の「渋谷ヒカリエ*」と2019(平成31)年開業の「渋谷スクランブルスクエア*」である。後者では、入場券は2,000円と高いが、渋谷で最も高い地上約230mから360度を見渡せる展望施設「渋谷スカイ」が話題を呼んでいる。同じ年の12月、駅前の東急プラザ跡地に、東急プラザ、オフィス、バスターミナルなどで構成される「渋谷フクラス*」が開業した。17階にある高さ約100mの屋上テラス「シブニワ」からは、無料で眺望が楽しめる。さらに、東急東横線の廃線跡地には、2018(平成30)年に地上35階・地下4階のタワーを中核とする複合施設「渋谷ストリーム」、つづいて代官山方面に向かう渋谷川沿いには、屋外イベントスペース「渋谷リバーストリート」が渋谷川の再生と共に誕生。また、1960年代に東京初の屋上公園として整備された宮下公園は、2020(令和2)年に、幅35m、長さ330m、地上17mの新商業施設「MIYASHITA PARK」に生まれ変わった。屋上公園では、芝生ひろばのほか、スケートボードやボルダリングなどが楽しめる。百年に一度といわれる大規模な変貌の渦中にある渋谷駅周辺からは、今後も目が離せない。
渋谷は、時々刻々と変化している。1934(昭和9)年に東急東横線の駅舎と一体となった東急百貨店東横店が関東初の私鉄直営ターミナルデパートとして誕生して以降、東急の街とされていたが、1968(昭和43)年に西武百貨店渋谷店が進出すると、両社のグループがせめぎあって渋谷の魅力づくりを推進していった。顕著な変化が訪れたのは、1973(昭和48)年。西武系の渋谷パルコの開業を機に、「公園通り」、「スペイン坂」、「オルガン坂」などの名称がつけられ、以来、渋谷は新宿にとって代わって、若者の街と位置づけられるようになった。1991(平成3)年、バブル崩壊とともに流行を担うメインストリームが女子大生から女子高校生に移ってからは、人気ブランドを取り入れた「SHIBUYA109」が10代~20代前半の若者の聖地に。そして、1993(平成5)年に渋谷パルコの1階にTOKYO FMが開局されると、若者への情報発信力が一層強まったことで若者の渋谷流入に拍車がかかり、逆に大人の渋谷離れが目立っていった。
このファッションストリームと並行して起こったのが、「渋谷計画1985」である。1982(昭和57)年に、渋谷を本格的な文化の発信基地にすべく、委員会が発足。先陣を切って1989(平成元)年にオープンしたのがBunkamuraだった。美術館やコンサートホール、劇場や映画館などを擁する大型複合文化施設で、隣接の東急百貨店本店も文化力を強化。「東急本店通り」は「文化村通り」に改称され、1998(平成10)年には、文化村通りの坂上に大型書店ブックファーストが開業し、一帯が文化ゾーンとなった。しかし、開業から34年後の2023(令和5)年、東急百貨店本店の閉店と建て替え計画「渋谷アッパー・ウエスト・プロジェクト」に伴い、Bunkamuraはコンサートホールの「オーチャードホール」を除いて長期休館に。2027年度までにすべてを取り壊し、「Tokyo's Urban Retreat」をコンセプトにした36階建ての新複合施設に変身する。
一方、渋谷駅周辺では、2000(平成12)年前後から再開発がスタートした。渋谷にはオフィスとホテルが十分でないことが、「大人不在」の要因になったのでは、という観点から始まった計画である。
第一弾が、1997(平成9)年に完成した「パサージュガーデン」。渋谷駅の南側、山手線と東急東横線とに挟まれたJR渋谷駅貨物跡地に立つ、約1万1,500m2の新たなビジネス拠点である。翌年には、20階と21階に住居区画をもつ21階建ての高層オフィスタワー「渋谷インフォスタワー」が誕生した。
第二弾は、2000(平成12)年春、京王井の頭線渋谷駅上部に竣工した「渋谷マークシティ*」。高さ95.55mと99.67mのツインタワーで、渋谷エクセルホテル東急とオフィス棟が入る複合ビルである。
第三弾は、2001(平成13)年春、渋谷駅南西の桜丘町に完成した「セルリアンタワー」。高さ184m、41階建て。4階から16階までがオフィス、17階から37階までが東急ホテル、38階がレジデンシャルフロア、39階が会議室、40階がレストランとなっている。同年には、渋谷駅新南改札からすぐの場所に16階建てのJR東日本系列「ホテルメッツ渋谷」も開業。この3か所でホテルの客室数は1,000室を超えた。一方、1969(昭和44)年から渋谷のアンダーグラウンド芸術の文化を育ててきた小劇場ジァンジァンが、2000(平成12)年に閉鎖となった。
第四弾は、2012(平成24)年開業の「渋谷ヒカリエ*」と2019(平成31)年開業の「渋谷スクランブルスクエア*」である。後者では、入場券は2,000円と高いが、渋谷で最も高い地上約230mから360度を見渡せる展望施設「渋谷スカイ」が話題を呼んでいる。同じ年の12月、駅前の東急プラザ跡地に、東急プラザ、オフィス、バスターミナルなどで構成される「渋谷フクラス*」が開業した。17階にある高さ約100mの屋上テラス「シブニワ」からは、無料で眺望が楽しめる。さらに、東急東横線の廃線跡地には、2018(平成30)年に地上35階・地下4階のタワーを中核とする複合施設「渋谷ストリーム」、つづいて代官山方面に向かう渋谷川沿いには、屋外イベントスペース「渋谷リバーストリート」が渋谷川の再生と共に誕生。また、1960年代に東京初の屋上公園として整備された宮下公園は、2020(令和2)年に、幅35m、長さ330m、地上17mの新商業施設「MIYASHITA PARK」に生まれ変わった。屋上公園では、芝生ひろばのほか、スケートボードやボルダリングなどが楽しめる。百年に一度といわれる大規模な変貌の渦中にある渋谷駅周辺からは、今後も目が離せない。

みどころ
多くの人が行き来して立ち止まることもできないスクランブル交差点は、若者やインバウンド旅行者に人気がある。グルメ、ファッション、アート、エンターテインメントなど、常に流行の先端を行く街である。

補足情報
*忠犬ハチ公:オスの秋田犬。飼い主は東京大学農学部の上野英三郎教授。松濤に自宅がある上野教授を出迎えに渋谷駅で待っていたハチ。上野教授が急逝してからも、渋谷駅で主人の帰りを待ち続けた。このことが新聞に掲載されると注目されるようになり、「忠犬ハチ公」と呼ばれるようになった。1934(昭和9)年には渋谷駅前にハチの銅像が設置され、除幕式にはハチも参列したという。その翌年、ハチ死亡。銅像は第二次世界大戦中に金属供出のため破壊されたが、戦後再建され、1987(昭和62)年には、映画化もされた。ハチの墓は、青山霊園の上野教授の墓と並んである。
*渋谷マークシティ:渋谷駅直結、約65のショップ&レストラン、ホテル、オフィス、バスターミナルからなる複合施設。
*渋谷ヒカリエ:カフェ・レストラン、ショップ、ミュージカル劇場など、大人の女性に人気がある。8フロアある ShinQs(シンクス)には約230軒のショップが入る。
*渋谷スクランブル・スクエア:渋谷駅直結、地上47階建ての大型複合施設で、高さ229mの展望施設、オフィスフロア、共創施設、商業施設で構成されている。
*渋谷フクラス:膨らす(膨らます)」という日本語から、渋谷及びこのビルを訪れる人々の幸福を大きく膨らませたいという意味がこめられている。
*渋谷マークシティ:渋谷駅直結、約65のショップ&レストラン、ホテル、オフィス、バスターミナルからなる複合施設。
*渋谷ヒカリエ:カフェ・レストラン、ショップ、ミュージカル劇場など、大人の女性に人気がある。8フロアある ShinQs(シンクス)には約230軒のショップが入る。
*渋谷スクランブル・スクエア:渋谷駅直結、地上47階建ての大型複合施設で、高さ229mの展望施設、オフィスフロア、共創施設、商業施設で構成されている。
*渋谷フクラス:膨らす(膨らます)」という日本語から、渋谷及びこのビルを訪れる人々の幸福を大きく膨らませたいという意味がこめられている。
関連リンク | GO TOKYO 東京の観光公式サイト(WEBサイト) |
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参考文献 |
GO TOKYO 東京の観光公式サイト(WEBサイト) 「TRI-VIEW 99.11「新渋谷考」特集号」株式会社東急総合研究所 |
2025年06月現在
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