東京都庭園美術館
1933(昭和8)年に建てられた旧朝香宮(あさかのみや)邸を美術館とした施設で、JR山手線の目黒駅から徒歩7分、国立科学博物館附属自然教育園の南に隣接している。約3,500m2の敷地には西洋庭園、日本庭園、芝庭があり、建物自体がアール・デコ様式の作品と言える旧朝香宮邸(本館)2,100m2と、美術展示やイベントのための新館2,141m2(カフェを含む)がある。
朝香宮鳩彦王はフランス留学中の1925(大正14)年にパリ万国博覧会を視察した際、博覧会で提唱されていたアール・デコ様式*におおいに魅せられた。そこで、白金台の御料地に新邸宅を建設する際に、アール・デコ様式を積極的に取り入れたのである。建物は宮内省の設計組織であった内匠寮(たくみりょう)の北村耕造、権藤要吉らが設計し、主要な部屋内装装飾をパリの博覧会で活躍した装飾美術家アンリ・ラパン*やルネ・ラリック*が行っている。日本のアール・デコ様式の邸宅建築として見学できるもので、2015(平成27)年に国の重要文化財に指定されている。
建物は戦後、吉田茂首相の公邸として使用された後に、1950(昭和25)年に西武鉄道に譲渡されて、1955(昭和30)年からは白金迎賓館として使用された。1962(昭和37)年には迎賓館新館が付加されている。1981(昭和56)年に東京都に譲渡され、1983(昭和58)年に庭園美術館として公開が始まった。2014(平成26)年には美術展示のために新館がリニューアルされた。
洋式庭園には3点の野外彫刻、日本庭園には築山と池・茶室がある。日本庭園は朝香宮邸時代のものであり、1936(昭和11)に完成した中川砂村設計の茶室「光華」は重要文化財に指定されている。
朝香宮鳩彦王はフランス留学中の1925(大正14)年にパリ万国博覧会を視察した際、博覧会で提唱されていたアール・デコ様式*におおいに魅せられた。そこで、白金台の御料地に新邸宅を建設する際に、アール・デコ様式を積極的に取り入れたのである。建物は宮内省の設計組織であった内匠寮(たくみりょう)の北村耕造、権藤要吉らが設計し、主要な部屋内装装飾をパリの博覧会で活躍した装飾美術家アンリ・ラパン*やルネ・ラリック*が行っている。日本のアール・デコ様式の邸宅建築として見学できるもので、2015(平成27)年に国の重要文化財に指定されている。
建物は戦後、吉田茂首相の公邸として使用された後に、1950(昭和25)年に西武鉄道に譲渡されて、1955(昭和30)年からは白金迎賓館として使用された。1962(昭和37)年には迎賓館新館が付加されている。1981(昭和56)年に東京都に譲渡され、1983(昭和58)年に庭園美術館として公開が始まった。2014(平成26)年には美術展示のために新館がリニューアルされた。
洋式庭園には3点の野外彫刻、日本庭園には築山と池・茶室がある。日本庭園は朝香宮邸時代のものであり、1936(昭和11)に完成した中川砂村設計の茶室「光華」は重要文化財に指定されている。

みどころ
みどころは旧朝香宮邸の内装・装飾を含めた建物そのもの、加えてアール・デコに関連する収蔵資料などである。常設展示はないが、年に1回は旧朝香宮邸の建物公開が行われ、年に数回、装飾芸術品などを紹介する新館での企画展示会やイベントが催される。また、庭園のみの見学も可能である。
旧朝香宮邸内では各部屋にアール・デコの装飾が施され、特に来客をもてなす玄関、客間、大食堂などの壁画やシャンデリア、室内噴水機(香水塔)が見応えがある。また、各室の壁紙、暖房機カバー、扉や階段の鉄製手すり、はてはサンルームの配水口の蓋まで、あらゆるところにアール・デコ様式が表現されている。主な作品は以下のとおり。
・アンリ・ラパンの制作……主要7室の室内装飾 主に来客を迎える場所
大客室(客間)壁画と小客室(客間)のキャンバス製壁画、大食堂の油絵、2階のドーム型天井を持つ書斎
・ルネ・ラリックの制作……大広間入口の女性像ガラスレリーフ、大客室とガラス製シャンデリア4灯
・L・ブランショ(彫刻家)の制作……大広間の階段右脇の大理石レリーフ
・フランス国立セーブル製陶所の制作品(陶器)……次室の香水塔
・内匠寮の制作………玄関ホールのモザイクタイル他
旧朝香宮邸内では各部屋にアール・デコの装飾が施され、特に来客をもてなす玄関、客間、大食堂などの壁画やシャンデリア、室内噴水機(香水塔)が見応えがある。また、各室の壁紙、暖房機カバー、扉や階段の鉄製手すり、はてはサンルームの配水口の蓋まで、あらゆるところにアール・デコ様式が表現されている。主な作品は以下のとおり。
・アンリ・ラパンの制作……主要7室の室内装飾 主に来客を迎える場所
大客室(客間)壁画と小客室(客間)のキャンバス製壁画、大食堂の油絵、2階のドーム型天井を持つ書斎
・ルネ・ラリックの制作……大広間入口の女性像ガラスレリーフ、大客室とガラス製シャンデリア4灯
・L・ブランショ(彫刻家)の制作……大広間の階段右脇の大理石レリーフ
・フランス国立セーブル製陶所の制作品(陶器)……次室の香水塔
・内匠寮の制作………玄関ホールのモザイクタイル他

補足情報
*アール・デコ様式:1910~1920年代にフランスで興り、工芸・建築・絵画・服飾など幅広い分野に波及した装飾様式。1925年のパリの「現代装飾美術・産業美術国際博覧会」の名称である「Arts décoratifs(装飾芸術)」に由来する。交差する直線、放射状の直線、立体図形、幾何学図形の繰り返し模様などを特徴とし、19世紀末のアール・ヌーヴォーの具象的・自然模倣・植物的な様式から、20世紀中盤に隆盛するモダニズムの抽象的・機能性追求に至るまでの中間に位置する様式である。
*アンリ・ラパン(1873~1939年):フランスの画家、イラストレーター、デザイナー。磁器、革製品、照明、インテリア家具などでアール・デコ様式の作品を制作した。フランス国立セーブル製陶所の美術顧問であった。
*ルネ・ラリック(1860~1945年):フランスの宝飾デザイナー、ガラス工芸家。アール・ヌーヴォーからアール・デコの双方に活躍した。
*アンリ・ラパン(1873~1939年):フランスの画家、イラストレーター、デザイナー。磁器、革製品、照明、インテリア家具などでアール・デコ様式の作品を制作した。フランス国立セーブル製陶所の美術顧問であった。
*ルネ・ラリック(1860~1945年):フランスの宝飾デザイナー、ガラス工芸家。アール・ヌーヴォーからアール・デコの双方に活躍した。
関連リンク | 東京都庭園美術館(公益財団法人東京都歴史文化財団)(WEBサイト) |
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参考文献 |
東京都庭園美術館(公益財団法人東京都歴史文化財団)(WEBサイト) 「旧朝香の宮邸の歴史を訪ねて」東京都庭園美術館(公益財団法人東京都歴史文化財団)(WEBサイト) 「アール・デコの館」増田影久・藤森照彦 筑摩書房 「全国博物館総覧」日本博物館協会編 ぎょうせい |
2025年06月現在
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