雲取山くもとりやま

東京都・山梨県・埼玉県の境をなす標高2017mの山。東京都の最高峰として知られ、奥多摩と奥秩父を結ぶ位置にあり、都心近郊ながら高山を味わえる山として人気がある。山頂付近は針葉樹と草原におおわれ、平地では見られない花々が咲く。
 秩父側の三峰山と奥多摩側の石(いし)尾根、そして奥秩父主脈の飛竜(ひりゆう)山方面へと3つの尾根がのびるなど、登山ルート数も多く、それぞれ変化に富んでいる。具体的な登山道としては、秩父側からの三峰コース、多摩川からの鴨沢コースと三条の湯コースの3本がある。三峰コースは三峰神社に立ち寄ることができ、鴨沢コースは広い防火帯があり展望がよいのが魅力的である。山頂には避難小屋、山頂北部には雲取山荘がある。
 また、通年営業の山小屋もあり、入山しやすいが、いずれのルートも標高差と距離があるため、十分な登山経験と宿泊を伴う登山計画を組むことが好ましい。12月末から4月ごろまで雪があるので、冬期はアイゼン等の冬山登山装備が必要である。
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みどころ

東京都の最高峰で2017mと唯一2000mを越えており、山梨県、埼玉県の3県県境に位置していることなど、雲取山の位置自体に価値がある。また奥秩父の最高峰国師ヶ岳(2592m)から東側に徐々に標高を下げていき甲武信岳(こぶしがたけ)、破風山(はっぷさん)、雁坂嶺(かれさかれい)、水晶山、唐松尾山、大洞山(おおぼらやま)とうねりが続き、雲取山が最後の2000m級の山となる。
 深田久弥は雲取山の特徴をとらえ、「雲取山は東京から一番地近く、一番深山らしい気分のある2千m峰だけあって、高尾山や箱根などのハイキング的登山では物足りなくなった人が、次に目指す格好な山になっている」と表現している。冬季の積雪量が少ないこともあり、雪山の手始めとしてもいい山である。ただし、冬期は十分な雪山装備をすること、天気予報には注意することを忘れてはいけない。
 山頂からの展望は広く、富士山・南アルプス・八ヶ岳や丹沢・奥秩父の山々がパノラマとなって展開する。特に富士山がシンメトリーに見える方角*に位置しているので、天気が良ければ南西側に富士山が美しい形を見せる。
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補足情報

*奥秩父:雲取山から西に山梨県側の甲武信岳、国師ヶ岳、金峰山、小川山、飯盛山に至る主脈とその周辺部をさす。
*奥多摩:雲取山から東側、東京都の西部の山岳地域とその周辺地域。主な山は三頭(みとう)山、御前山、御岳山、蕎麦粒(つぶ)山など。
*富士山がシンメトリーに見える方角:富士山から北北西の方角。三ツ峠山や雁ヶ腹摺山(旧五百円札の裏面の富士山の眺望)の延長上に雲取山がある。
関連リンク 奥多摩町(WEBサイト)
参考文献 奥多摩町(WEBサイト)
GO TOKYO 東京の観光公式サイト(WEBサイト)
雲取山荘ホームページ(WEBサイト)
「日本百名山」深田久弥 新潮社

2025年06月現在

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