笠森寺(笠森観音)かさもりじ(かさもりかんのん)

町の北西端に位置する笠森寺は、坂東三十三観音霊場の第31番札所であり、「笠森観音」の名で親しまれている。開創は784(延暦3)年、最澄によると伝えられており、観音堂*は後一条天皇の勅願によって1028(長元元)年に建立されたといわれる。
 山頂の巨岩の上に建てられた観音堂は、日本でただひとつの『四方懸造り』として、国の重要文化財に指定されている。本尊の十一面観音は秘仏で、丑年と午年に開帳が行われる。像高は2.6mで、1426(応永33)年の刻文がある。回廊からは、南房の山々を望むことができる。境内には、観音堂のほかに、六角堂、鐘楼堂、二天門などがある。
 境内は起伏に富んだ地形で、杉・松・シイ・タブ・楠などの樹林に包まれ、切通しの参道は崖が迫り、昼もほの暗くひんやりとしている。一帯は暖帯性照葉樹林の一典型で、笠森寺自然林として国天然記念物に指定されている。参道の途中には、「子授楠」といわれる巨木や芭蕉の句碑が立つ。
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みどころ

参道は昼間であっても薄暗くひんやりとしており、霊山としての雰囲気が感じられる。山門をくぐると、正面に見える観音堂の大きさに圧倒され、また地面に建てられているのではなく巨大な岩の上に建てられていることに驚きを感じる。
 階段は吹きさらし状態にあり、のぼるにつれて次第に恐怖心が高まる。その一方で、回廊から臨む周辺の自然林や南房の山々に感動を覚える。
 他ではなかなか経験することがない独特の雰囲気を有する笠森寺及び観音堂は、様々な角度から見て楽しめる。(牧野 博明)
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補足情報

*観音堂:四方懸造(しほうかけづくり)、寄棟造、正面5間、側面4間、回縁付で、地上から75段の階段を上る。地上から棟上端まで高さ約30m、周囲の平坦地から約16mの岩盤上にたち、縁下の61本の柱の長さが全部異なる。1960(昭和35)年の解体修理で、天正・文禄などの墨書銘が発見され、その頃の再建と思われる。
関連リンク 笠森観音(WEBサイト)
参考文献 笠森観音(WEBサイト)
パンフレット「笠森観音」

2020年04月現在

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