日光白根山にっこうしらねさん

金精峠の南西、栃木・群馬両県境にそびえる活火山で標高2,578m、那須火山帯に属する。第3紀に噴出した流紋岩の上に、小規模の火山活動をくり返して、橄欖(かんらん)石や輝石安山岩から成るドーム状の奥白根山ができたといわれる。また奥白根の溶岩が北西に流れて丸沼・菅沼、東に流れて五色沼などの堰止湖を造りだした。
 この山の名前は山肌の岩石が白みがかった色をしていること、標高が高い分周囲の山より早く雪が付き、残雪が遅くまで残ることからといわれている。
 日光国立公園内の最高峰であり、わが国ではこれより北に白根山より高い山はない。通常、主峰奥白根山と前白根山・五色山・金精山などの外輪山を含めて白根山というが、他の地域に白根山がいくつかみられるので日光白根山と呼んでいる。東方の前白根山から五色山・奥白根山への山道には高山植物が多く、奥白根山の荒い岩肌の山頂付近にはいくつかの火口跡が残っている。
 登山口は5つあるが最も楽で理想的なのが湯元から入って白根沢ルートを登り、弥陀ガ池を経て菅沼に抜けるコース。シラネアオイの咲き始める6月からが好シーズンである。
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みどころ

関東で最も標高が高く、この山以北には山頂の標高を超える山がないため山頂からは眺めがよく日光連山をはじめ尾瀬の山々、晴天であれば遠く富士山や北アルプスが見渡せる。理論上では伊豆大島や利島まで視線が届くという。
 標高が高く樹林が広がる山のため、雪解けが遅く、白く見える姿が特徴。しかし、近づくと山深いためなかなか山容を見ることができず、戦場ヶ原からわずかに山頂から見える程度である。しかし男体山や武尊岳、燧ケ岳などからは重厚さを感じさせる山である。
 火山性の土地と厳しい気象条件から、高山植物も独自の変化を遂げて珍しい植物が生まれており、「シラネ」を冠した花の名が多数みられる。シラネアオイがその代表で、大柄な花と繊細な花びらで人気の高山植物である。その他多彩な高山植物もこの山の魅力である。(林 清)
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補足情報

*群馬側から登るコースは、菅沼登山口からと日光白根山ロープウェー山頂駅からの2コース。ロープウェー山頂駅からのコースは2~3時間で登頂できるので、初級者でもチャレンジしやすいコースとなっている。