渡良瀬遊水地わたらせゆうすいち

栃木、群馬、埼玉、茨城4県の県境にまたがる日本で最大の遊水地であり、渡良瀬川、巴波川、思川に沿って広がり、その洪水流を受け入れることで遊水地周辺の河川水位を下げるとともに、下流へ流す流量を減らし、利根川の氾濫を防止するという治水上の重要な役割を果たしている。
 当地は、関東平野で一番の低地で、水がたまりやすい地形であった。遊水地の工事は1912(明治45)年に始まり、1922(大正11)年に完了した。1990(平成2)年から、谷中湖は首都圏の水がめの一つとして、貯水池としての利用が開始されている。
 野球場、テニスコート等のスポーツ施設があり、ボードセイリングやカヌー等のの水上スポーツも楽しめる。2012(平成24)年には、渡良瀬遊水地*は本州最大のヨシ原を主体とする湿生草地が存在する低層湿原で、多様な動植物が生息する湿地であることから、ラムサール条約に登録されている。
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みどころ

33km2の低地が大きく広がり、すがすがしい気分になる。サイクリング、ボードセイリングなどのマリンスポーツが盛んなのも頷ける。ラムサール条約に登録された国際的に重要な湿地であり、絶滅危惧種を含む動植物が確認されている。渡良瀬遊水地固有の植物も多く豊かな自然が保全されている。一方、洪水時には風景は一変し、洪水調節の重要な役割を果たす。令和元年10月の台風では約1.6億tの洪水貯留効果を発揮した。(溝尾 良隆)
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補足情報

*渡良瀬遊水地には、かつて足尾銅山鉱毒事件の犠牲となった谷中村廃村の歴史が刻まれている。廃村後も16戸の村民は田中正造と村に残り抵抗を続けた。水塚(みづか)や役場跡、雷電神社跡、延命院跡、谷中墓地などは、史跡保全ゾーンとして残されている。秋になると寺院跡にきまって赤いヒガンバナが咲く。そうした歴史にも思いを馳せてほしい。
関連リンク 国土交通省関東地方整備局利根川上流河川事務所(WEBサイト)
参考文献 国土交通省関東地方整備局利根川上流河川事務所(WEBサイト)

2022年06月現在

※交通アクセスや料金等に関する情報は、関連リンクをご覧ください。

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