十和田ホテル本館
十和田湖の西畔、湖を見渡す高台に建つホテル。本館と新館の2棟が並ぶが、本館は1938(昭和13)年に竣工し、翌年6月に県営ホテルとして開業した。本来は1940(昭和15)年に開催予定であった「東京オリンピック」を前に、政府の要請で全国に建てられた訪日外国人観光客向けの宿*1としての、ホテルのひとつだった。しかし、オリンピックが中止となり、1940 (昭和15)年には鉄道省へ経営移管されたが、戦争激化のなか休業となり、戦後は進駐軍に接収された。1952(昭和27)年の接収解除で秋田県が買戻し、その後、第3セクターが民間ホテルグループと業務提携しながら運営している。
本館の全客室の21室をレイクビューとするため、建物はL字型に建てられており、木造一部鉄筋コンクリート造3階建、鋼板葺で建築面積780m2。外装全体には秋田杉を多用し,石積の基壇の上に半割の丸太を配しているのが特徴的。玄関ホールの吹き抜けは秋田杉やブナ材が使われおり、杉皮張の天井、組子欄間など手の込んだ造りとなっている。客室や廊下も秋田・青森・岩手3県から80人もの宮大工が集められ、それぞれが腕を揮っているため、日本の伝統的な技法を駆使し、巧みな意匠となっている。1998(平成10)年には老朽化や観光客のニーズの変化に対応するため、建設時の文化価値を保持保全しながら修復工事を行った。
なお、別館の客室は29室。冬期(11月上旬~4月中旬)に休業する場合もあるので、事前の確認が必要。
本館の全客室の21室をレイクビューとするため、建物はL字型に建てられており、木造一部鉄筋コンクリート造3階建、鋼板葺で建築面積780m2。外装全体には秋田杉を多用し,石積の基壇の上に半割の丸太を配しているのが特徴的。玄関ホールの吹き抜けは秋田杉やブナ材が使われおり、杉皮張の天井、組子欄間など手の込んだ造りとなっている。客室や廊下も秋田・青森・岩手3県から80人もの宮大工が集められ、それぞれが腕を揮っているため、日本の伝統的な技法を駆使し、巧みな意匠となっている。1998(平成10)年には老朽化や観光客のニーズの変化に対応するため、建設時の文化価値を保持保全しながら修復工事を行った。
なお、別館の客室は29室。冬期(11月上旬~4月中旬)に休業する場合もあるので、事前の確認が必要。
みどころ
本館の外見はヨーロッパの山荘を思わせる造り。吹き抜けの玄関ホールは、ブナの柱に杉丸太や表具が配され、重厚、緻密で高度な建築技術が各所に際立ち、圧巻。各部屋の床の間、天井、格子戸などの内装のひとつひとつにも意匠が凝らされている。全客室がレイクビューであり神秘的な十和田湖の景観を満喫できる。
この文化的、歴史的価値の高い建物の保存はもちろんのこと、これに対応したソフト面での質の維持向上をさらに図ることにより、高級リゾートホテルとしての価値をより一層高めることになろう。
この文化的、歴史的価値の高い建物の保存はもちろんのこと、これに対応したソフト面での質の維持向上をさらに図ることにより、高級リゾートホテルとしての価値をより一層高めることになろう。
補足情報
*1 訪日外国人観光客向けの宿:昭和初期の1930(昭和5)年代には、国家政策として「国際観光ホテル」整備を推し進め、積極的に建設資金を融資した。十和田ホテルと同時期に開業されたホテルとして現存するホテルは、雲仙観光ホテル(1935(昭和10)年開業)、川奈ホテル(1936(昭和11)年開業)、赤倉観光ホテル(1937(昭和12)年開業)などがある。
関連リンク | 十和田ホテル(WEBサイト) |
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参考文献 |
十和田ホテル(WEBサイト) 文化遺産オンライン(文化庁)(WEBサイト) 秋建時報「土木建築の近代化遺産」(一般社団法人秋田県建設業協会)(WEBサイト) 『月刊建設』平成10年度全建賞 全日本建設技術協会 『歴史を語る建物たち Future Sight 2012年冬号』山口泰史 |
2023年07月現在
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