白石川堤の桜(一目千本桜)しろいしがわづつみのさくら(ひとめせんぼんざくら)

JR東北本線船岡駅から徒歩わずか3分、白石川堤に一目千本桜と呼ばれるみごとな桜並木が大河原町金ケ瀬地区から柴田町船岡地区まで8kmにわたって続く。
 白石川堤の桜は、堤防竣工のしらせを聞いた東京で成功した髙山開治郎が、何十年後に桜の名所とすることを夢見て、1923(大正12)年と1927(昭和2)年に東京から植木職人を同伴し、町の職人とともに白石川の堤防に桜の苗木1,200本を寄贈し、自ら植え込んだのである。彼の努力は植樹100年を超す桜となって、みごとふるさとに花が開いているのである。彼の功績を讃えた桜樹碑*が大河原大橋下にある。白石川畔の桜に接し、135mの小山の船岡城址公園*の桜千三百本がなだれ込むように川畔の桜と一体となって、大規模な桜の光景が展開される。
 桜の品種はほとんどがソメイヨシノで、それ以外ではシロヤマザクラやヤエザクラ、最近になって増殖に成功した地元産の幻の品種センダイヨシノがある。品種の普及や桜樹の保護に、地元でのしっかりとした取組みがある*。
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みどころ

開花時期には、残雪頂く蔵王連峰と満開の桜並木が白石川に映り、絶妙な調和した風景をみせる。2015(平成27)年に船岡城址公園と白石川堤を結ぶ「しばた千桜橋」が開通し、この橋からの眺望が桜を見る新名所になっている。桜の開花期に、JRは列車を徐行運転して、乗客が車窓からも桜を観賞できるよう配慮している。
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補足情報

*髙山開治郎の碑:「愛郷奉仕/念止ミ難ク桜樹一千余本時価四千円ヲ 本町ニ寄付栽植ス」とある。
*船岡城址公園の桜:1970(昭和45)年、NHKの大河ドラマ「樅ノ木は残った」で一躍有名になった原田甲斐氏の居城である。城址の千三百本の桜とともに、ここの展望デッキから、白石川堤の桜の眺望も薦めたい。
*品種と保護の地元の取り組み:センダイヨシノの復活は、柴田農林高校バイオ研究班が取組み、1997(平成9)年に発足した大河原町さくらの会とともに、その普及に努めている。桜の天敵であるテングス病の予防にも、柴田農林高校が昭和の初めごろから行っており、1970(昭和45)年に日本さくらの会から表彰されている。