青根温泉あおねおんせん

JR白石蔵王駅からバスで約50分、遠刈田温泉から車で約10分の花房山の中腹、標高500mにある。1528(大永8・享禄元)年開湯という古くからの温泉で、心静かにすごす温泉地である。旅館は8軒。そのうちの1軒の湯元不忘閣は、歴代の伊達家仙台藩主や文人たちが足を運んだ名湯である。
2006(平成18)年に共同浴場の「じゃっぽの湯」がオープン。温泉地には、湯神様とも呼ばれる水分(みくまり)神社があり、頂には薬師如来を祀る湯神神社がある。ほかに青根温泉の歴史を伝える青根洋館*がある。温泉地の東方は展望が開け、太平洋・金華山までも遠望できる。
 温泉はアルカリ性単純泉、泉温は32.1℃~71.3℃(平均48.5℃)、設定51℃。源泉は大湯、新湯、御殿湯など数か所ある。
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みどころ

エコーラインの滝見台を過ぎてから、全国の中でも人気のある峩々温泉へ、そして青根温泉を結ぶルートを勧めたい。さらに遠刈田温泉へと下る7kmのルートをたどると、遠刈田温泉からの周遊コースになる。峩々温泉からは一部狭いところもあるが、新緑・紅葉を楽しむことができる。共同浴場は以前、「大湯」と「名号湯」という2つであったが、それらは閉鎖され(ただし、大湯は「湯元不忘閣」の内湯として利用)、日帰り施設としてオープンした「じゃっぽの湯」が共同浴場の代わりを果たしている。標高の高い、自然にめぐまれた温泉地であるから、のんびりゆっくりと湯につかって過ごしたい。
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補足情報

*青根洋館:明治末期に来日した宣教師たちの住宅があった仙台市青葉区から、1959(昭和34)年に青根温泉地内に解体移築され、さらに2002(平成14)年に現在地に資料館として移築復元された。1階には観光案内所と喫茶室があり、2階には青根温泉の歴史に関する資料や、古賀政男の愛用した楽器や楽譜などの遺品が展示されている。古賀はこの地で1928(昭和3)年自殺をはかったが未遂に終わった。滞在中に名曲『影を慕いて』の着想を得たとされる。