宇曽利山湖うそりやまこ

恐山菩提寺の南に隣接しており、火山爆発によってできたカルデラ湖である。水面の標高は210m、周囲は7.1kmで、面積は2.65km2、最大水深は約20m、湖水の透明度は13.0m*でわが国第8位。火口湖特有の強酸性湖で、その形状はほぼ円形で肢節量(1.23)*はカルデラ湖において全国4位である。
 平安時代の僧の円仁*が霊場をさがす途中山野で道に迷い、そのとき一羽の鵜が魚をくわえて山の上に飛んで行くのを見てこの湖を発見したという。
 宇曽利山湖から北東に流れ出す三途の川は霊界と俗界の分かれ目といわれ、朱塗の太鼓橋が架かっている。この流れは、正津川(しょうづがわ)となり津軽海峡に注いでいる。
極楽浜には東日本大震災犠牲者追悼のために建てられた地蔵菩薩像があり、背面には大小数十の手形が彫られている。
 駐車場から湖畔沿いに2kmほどの遊歩道があり、その先には湖を一周できる10kmほどのハイキングコース(林道)がつづいている。
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みどころ

恐山の霊場景観に隣接しており、蓮華八葉*の山影を映す湖面の濃いエメラルド色と神秘的な静寂さが漂う。太鼓橋周辺の湖面には以前の桟橋跡である朽ちた柱も並んでおり、異様な景観である。
 湖の北岸は、各所から噴気や温泉が噴出し、鼻を突くような硫気もただよって、ほとんど植物も育たない荒涼とした風景が展開している。また湖畔の極楽浜からは宇曽利湖の鮮烈な美しさがかえって不気味さを感じさせる。
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補足情報

*透明度 平成3年度に環境庁自然保護局が行なった第4回湖沼調査。
*肢節量:丸に近い度合いのことで宇曽利山湖は1.23。環境庁「第4回湖沼調査(1991(平成3)年度)」による。
*円仁 平安初期の僧で天台宗山門派の祖。没後慈覚大師となる。在唐10年間の旅行記「入唐求法巡礼行記」の著者として名をはせる。
*蓮花八葉 花弁が8葉ある蓮華。真言密教などでは曼荼羅(まんだら)の中央にこれを描き,中央に大日如来,8葉に仏陀と菩薩を配する。宇曽利湖の外輪山や溶岩ドームの大尽山・小尽山・丸山・北国山・屏風山・剣山・地蔵山・鶏頭山の8峰をさす。

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