弘前城のサクラひろさきじょうのさくら

弘前城は、弘前藩2代藩主・津軽信枚(のぶひら)が1611(慶長16)年に築城したもの。400年を経た今も当時の城の形が残っており、天守、3つの櫓、5つの城門は国の重要文化財に指定されている。日本屈指のサクラの名所としても有名であり、開花時期にはテレビなどでよく取り上げられている。4月下旬には、ソメイヨシノやヤエザクラなど約2,600本のサクラの花が城跡を埋め尽くす。秋には、サクラや約1,000本のカエデの紅葉を楽しむことができる。
 明治時代、荒れている城跡を見て元藩士たちがサクラを植えたのが始まりであるといい、城跡のサクラの中には日本最古級の樹齢140年以上を誇る弘前公園最長寿のソメイヨシノ*もある。城跡では1955(昭和30)年代から一年を通して植物の手入れを続けており、現在は「チーム桜守(さくらもり)」のメンバーがサクラを守っている。普通ソメイヨシノの平均寿命はおよそ60年であるが、城跡には樹齢100年を越える木が400本以上ある。管理の特徴は施肥と剪定による若返り方法にあり、弘前市に伝わるリンゴの剪定技術を参考にしているという(別掲「弘前のリンゴ畑」参照)。 
 弘前さくらまつりが例年4月下旬から5月上旬に開催されており、この時期には約250万人の人々が訪れている。
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みどころ

弘前城のサクラは独特の手入れをしている。病気の枝を払うとともに、木全体に日が当たり、風通しがよくなるように枝を剪定して、花が咲いたときに、こんもりとした樹形になるように考えられているという。その結果、目線の高さにサクラの花が広がる樹形になって、より一層サクラの花の美しさを間近に見ることができる。
 サクラの見どころは数多くあるが、一番人気は弘前城の西を守る西濠。両岸の沿道には多くのサクラが植樹され、なかでも「サクラのトンネル」と呼ばれる西濠沿いの散策路は、通路の左右にサクラの木が立ち並び、満開時にはサクラが咲きほこる。市街地の五十石町と西の郭に架かる城跡最長の春陽橋(しゅんようばし)からは、満開時に水鏡に映ったサクラの並木が眺められ、また少し離れると春陽橋を被写体として、赤い橋とピンクのサクラのコントラストの美しい写真も撮影できる。この西濠をはじめとして、それぞれの濠では散った花びらが水面に降り積もる花筏*の絶景も見どころのひとつである。
 本丸と二の丸に架かる下乗橋(げじょうばし)からは、石垣の上にそびえ立つ弘前城天守とサクラを楽しむことができるが、現在は石垣修理工事のため天守が本丸の内側に移動中であり、工事完成予定の2026年以降のお楽しみとなっている。
 弘前さくらまつりの期間中は多くの人でにぎわうが、早朝であれば入場料もいらず静かに観賞できる。また、この期間中、日没から夜22時00分まで夜間ライトアップされており、特に西濠の春陽橋から見るライトアップが一番の見どころとなっている。
 弘前市では市全体としてサクラのイメージを定着させるため、弘前城のほかにも世界一のサクラ並木*など、各所でサクラの名所づくりに取り組んでいる。
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補足情報

*弘前公園最長寿のソメイヨシノ:旧弘前藩士でリンゴの開祖と言われる「菊池楯衛(きくちたてえ)]が1882(明治15)年私財をはたいて1,000本のサクラの木を弘前城に植えたもののうちの1本。青森県の天然記念物に指定されている。
*花筏:散ったサクラの花びらが帯状に水に浮かんで流れて行くのを、筏に見たてて呼ぶもの。
*世界一のサクラ並木:岩木山の麓、弘前市百沢(ひゃくざわ)~嶽(だけ)間の県道と支線約20kmにわたり、オオヤマザクラ約6,500本の並木道が続く。1985年の記念植樹に始まり、地元民たちの思いで毎年植樹が継続され1995年まで約10年をかけて6,500本になったという。
関連リンク 弘前市(WEBサイト)
参考文献 弘前市(WEBサイト)
弘前さくらまつり2023(弘前市役所)(WEBサイト)
きてみて、ひろさき。ここみて、弘前(公益社団法人弘前観光コンベンション協会)(WEBサイト)
『青森県の歴史』山川出版社
『ブラタモリ14 弘前』NHK「ブラタモリ」制作班監修

2023年08月現在

※交通アクセスや料金等に関する情報は、関連リンクをご覧ください。

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