黒石よされくろいしよされ

黒石よされは歴史ある盆踊り*で、津軽民謡黒石よされにあわせて、編笠・ゆかた姿で町を踊りまわる年中行事である。踊りは廻りおどり・組おどり・流しおどりの3種類からなっている。
 500~600年前に唄われた男女の恋の掛け合い唄が起源と言われている。「よされ」という言葉の語源は諸説あり、一説によれば、豊作で楽しいときは「仕事をよして楽しみなされ」、凶作で苦しいときは「このような世の中は早く去れ」と言ったことから生まれたといわれている。江戸時代後期、黒石藩の家老・境形右衛門(さかいぎょうえもん)が経済振興策として、当時は「盆踊り」と呼ばれていた黒石よされを奨励したことから、黒石の町は大いに賑わったという。明治に入ると、盆踊りは中央から来た県令によって禁止されるが、大正期に黒石の盆踊りは復活していたようだという。現在、黒石よされは、流し踊り・廻り踊り・組踊りを三本柱とし、祭り期間中は大川原の火流し、浅瀬石川灯籠流し、ふるさと元気まつりなどが黒石の町を盛り上げる。
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みどころ

「エッチャホー、エッチャホー」のかけ声が特徴の黒石よされ。8月15日、16日の2日間だけ行われる流し踊りは、2,000人にもなる踊り手が一斉に市内中心街を踊りながら歩く。稲穂に雀柄のそろいのゆかたを着て踊るさまは風情がある。流し踊りの途中で曲の切り替わりが合図となり、出場団体ごとの廻り踊りが始まる。この時観客も加わって一緒に踊りを楽しむ「周り踊り」が祭りの雰囲気をもりあげる。「組踊り」は正式には「津軽民謡組踊り」といい、一人で踊る「津軽民謡手踊り」がもとになり複数人の組となって皆がそろって踊るものである。黒石よされ期間中に開催される「黒石よされ組踊り大賞」で、仮設舞台で一糸乱れぬみごとな組踊りが披露された団体がその年の大賞に選ばれる。
 津軽の短い夏を華やかに飾る黒石よされは、黒石ならではの「伝統」として脈々と受け継がれている。
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補足情報

*盆踊り:もとはお盆に帰ってきていた先祖の霊を送り出すための先祖や死者を供養するための踊り。盆踊りは8月15日の夜から盆の明けの16日の朝まで夜通しで踊るのが通例だった。近代ではお祭り的な要素が強まって、明治時代には男女間での風紀を乱すとの理由で取り締まりが行われたこともある。
関連リンク 黒石市(WEBサイト)
参考文献 黒石市(WEBサイト)
青森県黒石市へようこそ(一般社団法人黒石観光協会)(WEBサイト)
『黒石』パンフレット 黒石市
『青森県の歴史散歩』青森県高等学校地方史研究会(編) 山川出版社

2023年08月現在

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