ひがしもこと芝桜公園ひがしもことしばざくらこうえん

シバザクラで知られる東藻琴村は、2006(平成18)年に女満別町と合併をして、大空町となった。藻琴山の麓に繰り広がる約10万m2のシバザクラは「ひがしもこと芝桜公園」として整備されている。ここは網走市から車で約45分、女満別空港からは約30分、東藻琴の市街地からは約8kmと至便な地にある。
 5月上旬から5月下旬の期間、10万m2の広大な敷地内にある緩やかな丘を中心に園内の至る所で、直径1.5cmほどのピンク色のシバザクラが咲き誇る。丘には展望台、東屋、またピンク色の鳥居が目を引く山津見神社などがあり、アクセントになっている。シバザクラを観賞しながら散策できる遊歩道が各所に整備されているほか、丘の麓から中腹の東屋までをゆったりとしたスピードで進むトラック型の遊覧車(有料)も運行されている。 公園にはシバザクラで彩られた一周820mのゴーカートや、ヤマメ釣りができる釣り堀、球体でユニークな形をしたバンガロー、日帰り温泉施設「芝桜の湯」などを配備している。公園の開園期間は、5月3日から9月30日までである。
 東藻琴のシバザクラは、終戦直後に道内の留辺蘂町(現北見市)からもってきたシバザクラを中鉢末吉が自宅に植えて、1,000m2ほどのシバザクラ公園をつくったことに始まる。これを見た藻琴山温泉管理公社から「芝桜で村の憩いの場をつくってほしい」と頼まれた中鉢は、公社職員となり、小高い丘斜面の笹や樺の木、雑草など取り払い、自宅からシバザクラを運んで、1977(昭和52)年から8年かけて植えていった。1991(平成3)年には8万m2、2008~2009(平成20~21)年には現在の10万m2にまで拡大したが、その7割は中鉢による整備だった。中鉢は80歳で引退するまで、22年間、シバザクラを管理し続けた。
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みどころ

5月上旬から5月下旬の期間、シバザクラが、「ピンクのじゅうたん」のように丘を埋め尽くす。広大な敷地、そして斜面に展開しているため、高低差、遠近感があり、全国各地のシバザクラの景勝地と比較しても、ここは開設以来、全国一級のシバザクラの見どころとなっている。
 一面に咲き誇るシバザクラの中には、ピンク色のほかに赤や白、紫といった色合いのものも混じり、変化を与えている。晴れた日には空の青とシバザクラとのコントラストが美しい。丘の上までは300段近い階段や遊歩道が整備されている他、遊覧車(有料)が運行されているので、思い思いに楽しみたい。頂上からはダイナミックで広がりのあるシバザクラの景色や、シバザクラの向こうには藻琴山を見ることができる。
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補足情報

*あまり知られていなかったシバザクラが全国各地で観光対象になったのは、同じ北海道だが100km以上離れている滝上町と東藻琴村(当時)のシバザクラを組み込んだ旅行商品を旅行会社が発売し、両者の相乗効果を高めて人気を博したからである。