ウポポイ(民族共生象徴空間)うぽぽい (みんぞくきょうせいしょうちょうくうかん)

白老駅から北1kmのポロト湖畔に2020(令和2)年にオープンしたウポポイ(民族共生象徴空間)。以前あったアイヌ文化を扱う野外博物館のポロトコタン*の敷地を拡大してアイヌの文化を紹介し、さらにアイヌ文化の復興・創造等を目指した国立の施設として建設されたもの。
 愛称のウポポイとはアイヌ語で「(おおぜいで)歌うこと」を意味している。先住民族であるアイヌの文化を振興するための空間や施設として、存立の危機にある貴重なアイヌ文化を復興・創造させる拠点として、また、差別のない多様で豊かな文化を持つ活力ある社会を築いていくための象徴として位置づけられている。そのために「民族共生象徴空間」という名前をつけている。
 敷地面積は約10万m2。遠隔敷地である為、国立アイヌ民族博物館、国立民族共生公園、慰霊施設からなる。国立民族共生公園にはアイヌの伝統芸能を上演する「体験交流ホール」、さまざまな体験プログラムを実施する「体験学習館」、スタッフによる実演と技術の解説を行う「工房」、アイヌの昔の家屋(チセ)の姿を模して立ち並ぶ「伝統的コタン」などの建築物と、野外ステージや広場、休憩スペースの屋外空間がある。
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みどころ

広大な敷地に新しく整備の行き届いた展示施設などの建物と、芝生広場や野外ステージ、屋外休憩施設、伝統的コタンなどをゆったりと配置している。敷地の広場の緑とポロト湖、その背景の深い緑や山並みの景観が美しい。 
 館内の施設名、展示室の解説パネルや表示にはアイヌ語を第一言語として表示されており(多言語併記)、アイヌ文化を尊重する姿勢が表れている。
 屋内外では様々なプログラムが用意されており、映像上映や伝統芸能の上演、ガイドや音声による解説など多彩である。一日ではとても見切れず、園内も広くて移動に時間がかかるため、事前に情報を得て計画的に動きたい。
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補足情報

*ポロトコタン:1965(昭和40)-2018(平成30)年。樽前山を背景にしたポロト湖畔で、アイヌ文化を紹介した野外博物館。ポロトコタンとは、アイヌ語で「大きな湖の集落」という意味。1984(昭和59)年、施設内に新たに開設した博物館により、アイヌ文化を国内外に発信。北海道内では、平取町の二風谷コタン、旭川市近文の川村カ子トアイヌ記念館、阿寒湖アイヌコタンが有名。