川湯温泉かわゆおんせん

弟子屈町の北部にあり、針葉樹林に囲まれ、アトサヌプリ(硫黄山)の噴煙を仰ぐ温泉。温泉は、摩周湖の伏流水がアトサヌプリで熱せられて自噴しているもの。
 この地域は、かつて硫黄の採掘で栄えた。この地に鉄道を敷設させるとともに川湯温泉の発展につなげていったという歴史をもつ。ただし鉄道が開設されたことで硫黄の採掘量が飛躍的に増え、わずか9年で掘りつくし硫黄の採掘も終焉を迎えたという。
 川湯温泉の名前の由来は、アイヌ語の「セセキベツ」で熱い川・湯の川の意味である。このことから湯の川温泉という名にする予定であったが、すでに函館の「湯の川温泉」が使われていたため 並び順を入れ替えて「川湯温泉」としたと言われている。今でも温泉から流れ出た湯が、湯の川となって屈斜路湖に注いでいる。
 隣接する屈斜路湖畔にも様々な温泉が湧いており、温泉のはしごも楽しめる。
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みどころ

古くは硫黄採掘で栄えた、歴史ある温泉街*。立ちこめる湯けむりと、街を包む硫黄の香りが昔ながらの温泉情緒を醸し出している。源泉は硫黄分を含む強酸性のph0.8~2.4で刺激が強い。川湯温泉は地表近くから湧き出る多くの源泉を有しており、温泉全体で源泉100%の「かけ流し宣言」をしている。また数キロ離れた川湯温泉駅前付近では中性を示す重曹泉が湧き出しており、泉質が異なる温泉を有するのも川湯温泉の特徴である。
 川湯温泉の中心部にある川湯園地では足湯があり、川から立ち込める湯気のなか川の向こうに温泉街の町並みが広がり、温泉情緒あふれる足湯が楽しめる。またJR川湯温泉駅では駅構内にも床暖房を備えた足湯があり、ゆっくりと湯につかることができる。
 温泉の周辺では、アトサヌプリ(硫黄山)の噴気があがる様子を間近に観察したり、一面のエゾイソツツジが見事なつつじヶ原を散策したり、アカエゾマツの森歩きを楽しむこともできる。
 アトサヌプリを始め、屈斜路湖、摩周湖、阿寒湖、知床半島など魅力ある観光地とつながっており、魅力ある観光ルートを選択することができる。
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補足情報

*歴史ある温泉街:1877(明治10)年に本格的な硫黄採掘がはじまり、1886(明治19)年には温泉宿が開かれたが、硫黄採掘で働く坑夫たちの賭博場になり、その後営業不能となった。1904(明治37)年に浅野清次が人気のない川湯温泉に温泉宿を開業したのが湯治場としての始まりで、その後優れた硫黄泉質が世の中に広まり川湯温泉は栄えていった。

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