霧多布湿原きりたっぷしつげん

浜中町の榊町から琵琶瀬にかけての湿原*で、霧多布泥炭形成植物群落は、泥炭で形成*された高層湿原で8.03km2(後に0.86km2を追加)が、1922(大正11)年に国の天然記念物に指定された。1993(平成5)年には、ラムサール条約登録湿地となった。湿原の総面積31.68km2は全国で5番目の大きさである。
 約300種のさまざまな花が咲くことから「花の湿原」とも呼ばれる。特に6月中旬から7月中旬にかけての花の時期は美しく、ワタスゲで白一色に埋まるころ、時をずらして、エゾカンゾウが黄、ヒオウギアヤメが紫の花をつけるさまはみごとである。
 湿原の南に位置する琵琶瀬展望台から360°の眺望を楽しむことができる。1993(平成5)年、町により設置され、2005(平成17)年からはNPO法人霧多布湿原ナショナルトラスト*が管理運営している霧多布湿原センターでは、季節ごとにエコツアーやプログラムを案内している。
#

みどころ

琵琶瀬展望台では、湿原の全体を把握することができ、特に湿原内を流れる琵琶瀬川が大きく蛇行する姿、いくつもの点在する沼、季節により変化する植物の彩りを眼下にとらえることができ、その雄大な景観に圧倒されるだろう。
 霧多布湿原センターでは、湿原を楽しむ様々な情報が提供がされている。その他にも、浜中町が天然昆布の日本一の水揚げ量を誇ることもあり、長さ8mの長昆布が展示されていたり、たくさんの種類の昆布製品が置かれている。
#

補足情報

*湿原の形成:約6千年前は釧路湿原も霧多布湿原も、陸に大きく入り込んだ湾だった。その後、大地震によって地盤が隆起し、霧多布では海岸に砂丘があったため内陸側に沼が残った。この沼が水はけの悪い低地となって、アシ、スゲ類、ミズゴケなどが繁茂して湿原が形成された。
*NPO法人霧多布湿原ナショナルトラスト:1986(昭和61)年に地元の有志により、湿原保護のため、民有の湿原を借り上げ自然を保全する活動を行っている。