十勝川温泉とかちがわおんせん

帯広市の郊外、十勝川のほとりにある温泉街。日本でも珍しいモールの湯が湧出している。「モール」とは、亜炭などをさすドイツ語に由来した語。自生していた葦などの植物が長い時間をかけて堆積し、できあがった亜炭層を通って湧き出るため、植物性の有機物を多く含むことが特徴である。帯広市街などの十勝平野中心部の地下1,000mより深い所からわき出る温泉の泉温が50℃前後であるのに対して、十勝川温泉は地下500~700mからと浅い位置から、55~60℃のより高温の温泉がでている。
 温泉街には10軒程度の宿泊施設があり、中心部には足湯やマルシェ、飲食店、食品加工体験ができる施設を備えたガーデンスパ十勝川温泉がある。ガーデンスパ十勝川温泉には、モール温泉*のいわれは「葦の生い茂る湿地帯の小さな沼には、いつもお湯が湧き、動物達の癒しの場となっていました。アイヌの人たちは、そこを薬の湯として言い伝えてきました。」と案内されている。
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みどころ

農場が広がる牧歌的な十勝平野の中に、近代的な宿泊施設が点在している。街としての賑わいは希薄だが、いかにも十勝らしい雰囲気の中に、こうした温泉施設が佇んでいる雰囲気が良い。ここの特徴は一般的な鉱物性温泉に比べて世界でも希少な泉質といわれるモール温泉である。かつてアイヌの人たちが薬の沼と言っていたという語り伝えもあるように、身体を休めるためにもゆっくりと温浴を楽しむのが良い。この全域が園地のような温泉街には複数の足湯が整備されており、立ち寄りでもモール温泉にふれることができる。道の駅ガーデンスパ十勝川温泉は、癒しと食の日帰り拠点として諸機能を整えている。
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補足情報

*モール温泉:泥炭(亜炭)などに由来する腐植物(フミン質)を含むアルカリ性の温泉のことで、モール浴に似た効果が期待されることに由来する。泉質はナトリウム塩化物・炭酸水素塩泉(弱アルカリ性低張性高温泉)。