ばんえい競馬ばんえいけいば

世界で唯一、帯広競馬場で開催されている「ばんえい競馬」。古くから農耕馬として人々を支えてきた体重約800~1200kg前後のばん馬が、重量物を積載した鉄製のそりを曳き、2か所の障害(台形上の小山)が設置された直線200mのコースを走る競馬だ。障害を越えることが勝敗を分けるため、コースを一目散に走りきるのではなく、途中で止まり息を入れることで、障害での逆転シーンも多く見られる。力と速さと持久力と、騎手のテクニックを競う競馬である。長年、帯広市を含む北海道内の自治体が共同で運営してきたが、2007(平成19)年度から帯広市の単独開催となり、帯広競馬場(ばんえい十勝)で毎週土日月に開催されている。「ばんえい」の漢字表記は、いずれも荷物などをひくことを意味する二つの語をあわせた「輓曳」である。
 会場の帯広競馬場は、JR帯広駅の南口から2kmほど離れたところにある。ばんえい競馬用のコースは直線200mの中に、高さ1mと1.6mの二つの障害をもつ、10頭分のセパレートコースとなっている。観戦用のスタンドは3階建てで、施設内には、発売・払戻所の他、飲食・軽食コーナーや売店がある。また、同エリア内には観光交流拠点となる複合施設「とかちむら」が整備され、産直販売、馬の資料館、軽食レストランなどがある。
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みどころ

競馬場の入り口部には飲食・土産店が並び、イベント会場のような雰囲気を楽しむことができる。建物は古さを感じさせるが昭和の面影を残し、歴史ある地方の競馬の雰囲気を醸し出している。競走する距離は200mで、数分で決着がつく。一日に12レース行われており、レースの間隔は20分から30分ほど。スタンドに腰かけて、レースの行方をのんびり眺める人もいれば、馬がスタートゲートにはいると直ぐそばに近より、号砲とともに馬にあわせて駆けながら、お気に入り(賭け馬)を応援する人もいる。障害物を超えるときの騎手の鞭入れと、馬の熱気はド迫力である。1階にあるビギナーコーナーにて馬券の買い方を教えてもらったり、初心者向けのガイドブックもあるので、観光に訪れた初心者であっても気軽に競馬を楽しむことができる。赤ちゃんを連れた家族、リュックを背負った子供たちもみられる。北海道の開拓の歴史学習などを目的に修学旅行生なども訪れている。地元のための、庶民のための競馬だと言えるだろう。季節に合わせたイベントや、コラボイベントなども企画されており、新たなファンづくりに熱心なことも好印象である。旅の想い出として1レースだけ試してみるのもよし、数レースチャレンジしてもよし。お気に入りの飲み物とともに雰囲気を楽しむのもよいだろう。
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補足情報

*これまでの歴史的な経緯:北海道の開拓において重い荷を引いて農耕や木材運搬を支えた馬は「輓き馬」「輓馬」と呼ばれ、これが「ばんえい」という言葉の由来になったといわれている。ばんえい競馬のルーツは、北海道の開拓で苦楽をともにした自慢の馬に力比べをさせたのが始まりで、明治時代の終わりごろから農村のお祭りとして「お祭りばん馬」として定着した。この農村の娯楽であった「ばんえい競走」は1946(昭和21)年に公布された地方競馬法に馬券を発行する競馬として公認されたことから、翌1947(昭和22)年に初の公式ばんえい競走が旭川と岩見沢で行われた。当初は粗削りなお祭りばん馬の延長だったが、創意工夫を重ねて、コース、騎手の服装まで進化を遂げてきた。
関連リンク 帯広市ホームページ(WEBサイト)
参考文献 帯広市ホームページ(WEBサイト)
帯広競馬場(ばんえい十勝)ホームページ(WEBサイト)

2024年01月現在

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