二十間道路の桜並木にじゅっけんどうろのさくらなみき

峰々が連なる日高山脈を背に、太平洋を望む道内では比較的温暖な新ひだか町(日高町の南東に位置する)内を流れる静内川右岸沿いの道道より一本外側の道路の両側に、直接7kmにわたり咲き誇る桜並木である。1872年、北海道開拓使長官黒田清隆により北海道産馬の改良を目的として日高管内の静内・新冠・沙流の三郡に及ぶ約7万haの広大な用地に創設された牧場(現在は独立行政法人家畜改良センター占冠牧場)は1884年に宮内省の所管となり、1888年には新冠御料牧場と改称された。その後、明治三十六年(1903年)に同牧場を視察する皇族方の行啓道路(牧場事務所から南西方向にある目名地区まで。当時は中央道路と言われていた)として、幅二十間(36m)、延長約8km(直線で約7km)が開通した。その後、この道は二十間道路と呼ばれるようになった。大正5年(1916年)に、山桜(1,600本)、ドイツトウヒ(32万本)が道路わきに植樹された。現在は2,000本以上の葉が大型で花の色も濃いエゾヤマザクラ(オオヤマザクラ)が、直線7kmに渡って咲き誇る。毎年5月上旬から5月中旬が見頃である。
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みどころ

新ひだか町静内の牧場群を突っ切るようにのびる道路の脇に連なる桜並木である。日本一の桜並木といわれるが、どこまでも続く並木の長さと、年老いた木々の迫力は、その名にふさわしい。車でこの中を巡行すると、とにかく延々と続く様が実感できる。道路の脇には遊歩道もあるため、花のトンネルの中をゆっくり歩いて楽しむこともできる。桜に沿って緑の木立が同じように連なっている区間では、緑との対比も素晴らしい。緑の木立のない区間では、より開けた景観の中で、のんびりと草を食む牛や馬を眺めることができる。
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補足情報

*エゾヤマザクラ:オオヤマザクラの別名。北国の野生種サクラの代表である。雪や寒さに強く、花や若葉は赤みが強いのでベニヤマザクラとも呼ばれている。