登別温泉のぼりべつおんせん

登別駅の北8km、標高200mの原生林に囲まれた温泉。多種に及ぶ多彩な泉質と豊富な湯量で、北海道を代表する温泉地のひとつであり海外でも知名度が高い。温泉街の入り口に位置する道南バス登別温泉ターミナルから地獄谷の入口にかけて、旅館、みやげ物店、飲食店が多数並んで賑わいを見せている。また周囲には、大湯沼、四方嶺、倶多楽湖と探勝地が多い。
 登別温泉は江戸時代から温泉の存在が知られており、その始まりは1858(安政4-5)年、後に湯治の祖と呼ばれる滝本金蔵*が湯守となって旅人や鉱夫の湯治を目的に温泉宿を建て、自ら新しい道路を整備するなどしたと言われている。1905(明治38)年、日露戦争傷病兵の保養地に指定されてから全国に名が知られる温泉地となった。
 名前の由来はアイヌ語「ヌプルペツ」の色の濃い川から。
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みどころ

温泉街の北にある地獄谷は噴火口の跡で、登別温泉第一の見どころとなっている。直径450mにわたって一帯は、赤茶けた地肌をむき出しにして地底から熱湯や噴煙を吹き出している。湧出量は1日1万tといわれ、230度の高圧熱水、このエネルギーを1年間集めると大型の火山爆発に相当する。
 歩きやすい散策路や展望台もあり、旅館の浴衣がけでも気軽に見物できる。泡を立てて温泉が煮えたぎる風景が鬼の棲む「地獄」の由来となっており、この鬼を登別温泉のキャラクターとして使い、温泉街で様々な形で活用、PRしている。
 自然探勝路は、鉛地獄、昭和地獄、鉄砲地獄、剣山地獄、大地獄、竜巻地獄、虎地獄、血ノ池地獄、湯ノ花地獄、御初地獄の各地獄を遠まきにしてつくられている。
 地獄谷の北にある大湯沼は爆裂火口跡で、周囲約1kmのひょうたん型の沼で、沼底では約130℃の硫黄泉が激しく噴出し、表面の温度でも約40℃~50℃で灰黒色をしている。大湯沼から溢れ出した温泉が川へと合流する大湯沼川では天然足湯が楽しめ、森林浴をしながら疲れを癒すことができる。
 そのほか今も白煙を上げる活火山の日和山(ひよりやま)、天然記念物の登別原始林、泉源公園の迫力ある間欠泉、四方嶺にあるのぼりべつ熊牧場なども見どころである。
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補足情報

*滝本金蔵:1826(文政9)-1899(明治32)年。江戸の大工で安政5年箱館奉行雇吏新井小一郎にしたがって長万部に移住。のち登別にうつり、温泉を開発。また牧場や漁場なども経営した。