濤沸湖畔の原生花園とうふつこはんのげんせいかえん

濤沸湖は、網走市と小清水町にまたがる汽水湖である。オホーツク海に面した遠浅の湾が、潮の満ち引きによって作られた砂嘴によって塞がれた潟湖の一種で、周囲27.3km、総面積9km2。アイヌ語で沼の口を意味する「トープッ(to-put)」を語源とし、かつてはアイヌ語の別名で「チカプントー(鳥がいつもいる沼)」とも呼ばれてたように、オオハクチョウや、オオワシ、オジロワシにタンチョウなど四季を通して約250種もの野鳥が訪れる。植物には塩性湿地帯と淡水湿地帯の両方の特徴があり、砂嘴に広がる小清水原生花園とあわせて多くの草花が広がる。
 また、小清水原生花園インフォメーションセンターから国道をはさんで向かい側にある濤沸湖木道からは、ヒオウギアヤメやセンダイハギなどの原生花園とは異なる湿地性の花々や、放牧された馬たちが草を食む牧歌的な風景を眺めることができる。
 また、濤沸湖北西の網走市には濤沸湖水鳥・湿地センターがあり、濤沸湖の成り立ちや生息する動植物に関する情報が得られるほか、屋内に設置された望遠鏡から湖畔にいる野鳥を観察することもできる。
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みどころ

小清水原生花園の展望所から、湖を眺めることができる。前景となる草原にはセンダイハギ・ヒオウギアヤメの群落が見られ、その中での草原では馬が悠々と草を食んでいる。また、湖の遠景には藻琴山を望むことができる。国道を車がひっきりなしに通るあわただしさのすぐそばに、いかにも北海道らしいのんびりとした空間が広がる。
 国道から中に入ったところにある濤沸湖水鳥・湿地センターからは、水鳥が多く見られ、湖の中の浮島の背後に斜里岳を望む絶妙な景観を望むこともできる。この付近は夕日のスポットとしても有名で、湖に映り込む夕焼けが美しい。湖に氷の張る前と、春の氷の解けたころ渡ってくる白鳥も濤沸湖の代表的な眺めである。