礼文島の高山植物群落れぶんとうのこうざんしょくぶつぐんらく

北海道の北端、稚内市の西方60kmの日本海に位置する最北の離島である礼文島には、レブンアツモリソウ、レブンウエスユキソウやレブンコザクラなど、この島にしか見ることのできない固有種の他、さまざまな高山植物が生育しており、「花の浮島」とも呼ばれている。南北に細長く標高200~300mほどの丘陵性の起伏の続く島のいたるところには、本州では2000m級の高山でしか見られない高山植物が自生しているのが特徴である。こうした花々の多くは、サハリンなどを故郷とする北方系の植物で、氷河期が終っても生き残ったものといわれている。
 島の東海岸はなだらかな丘陵が広がり海へと続いているが、西海岸は切り立った断崖絶壁が連なり、冬の厳しい偏西風や、礼文島を囲うように流れる暖流などの諸条件により、太古からの特異な環境が保たれている。
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みどころ

なだらかな丘陵地の中を複数のトレッキングコースが整備されている。礼文島の高山植物を楽しむには、時間をかけてゆっくり歩いてみることをお勧めする。3~4時間で歩くコースから、1日がかりのコースまであり、その日の天候と体調に応じて選ぶと良いだろう。どのコースも利用時の注意事項が示されているので事前に確認すること。まだ肌寒さが残る5月下旬から7月が花のピークだというが、9月頃まで花は続く。季節によって見られる花は異なるので、特定の花にこだわるのなら十分に下調べをすると良い。
 いくつもあるトレイルコースの中でも桃岩展望台コースの人気が高いようだ。南の起点の知床までバスなどで移動し、そこから北上するのと、中心街から桃岩登山口まで歩き、そこから南下する行き方がある。海の向こうに利尻山を眺めながら歩くこのコースは、海と山と丘陵、空の色と海の色と花畑の色のコントラストが、一つの額縁の中に収まったような景観を見ながら歩くのが醍醐味。時間が限られる場合には、桃岩登山口から展望台までを往復するだけでも十分楽しめる。海岸線を走る道路端にさえ、高山植物が花が咲くこの島は歩くことを勧めたい。花の情報、トレイルに関するウェブ情報や資料類は充実している。