天塩川てしおがわ

北見山地の天塩岳(標高1558m)を水源とし、北へ向かって流れ、天塩町で日本海に注ぐ川である。本流の長さは256kmあり、北海道内では石狩川に続き2番目に長く、日本国内でも4番目の長さとなる長流河川である。アイヌ語の「テッシ(簗・やな:魚を獲る仕掛け)・オ(多い)・ペッ(川)」が語源であり、岩が簗(やな)のような形で川を横断していたという独特な地形に由来している。
 天塩川流域は、美しい渓谷美を見せる上流部、山間を流れる中流部、蛇行の著しい下流部に分けられる。蛇行の多いことが特徴だったが、山地がすぐ近くに迫っていることから度々大きな氾濫を繰り返し、甚大な水害がおきてきた。氾濫水害対策のためにたびたび治水事業が行われ、下流部には河川改修跡である三日月湖が数多く見られる。河口から158kmまでは堰などの川を横切る工作物が設置されておらず、また、コンクリートの護岸工事の実施箇所が少なく、自然のままの護岸が多く残されていることが大きな特徴になっている。
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みどころ

観光対象としての天塩川の特徴は、護岸工事跡の少ない原生的な雰囲気と、蛇行の形状と、それによってできた三日月湖である。国道40号に沿って車を走らせると、カーナビゲーションの調整次第では地図上に三日月湖がたびたび現れる。これといった展望所の整備がないので三日月型の形状を俯瞰できる場所は限られ、例えば、幌延町を通る国道40号からそれた脇道からは、いくつかの三日月湖が確認できる。周辺の草木が水面を隠しているのが残念だが、他に類のない原生的な雰囲気が感じられる。
 中川町から音威子府村にかけた国道40号の車窓からは、夏の間は草木が茂りその姿を見続けることはできないが、時折視界が開けたところでは、ゆったりと雄大に流れる様子が眺められる。道路沿いに車を止めてゆっくり対峙することはできないが、車窓見学であっても自然度は十分に伝わってくる。
 河口部は、海岸線に沿って南に向かって数キロにわたりゆっくりと流れる。川と日本海を隔てる砂州の存在が面白い。海岸砂丘には、園地が整備されているので天塩川と夕陽を眺めながら佇むのもよいだろう。
 河口から158kmまでの区間は、川を横切る障害物がないことからカヌーの適地としても知られ、カヌー愛好家のあこがれの場所でにもなっている。