積丹半島の海岸しゃこたんはんとうのかいがん

積丹半島は小樽市の西、日本海に突き出した半島であり、余市町から岩内町に至る国道229号線(積丹半島ブルーライン)約100kmに及ぶ海岸線で奇岩群が連続する地域である。積丹半島の中でも「神威岬」「島武意海岸(積丹岬)」「黄金岬」が主な見どころであり、その他美しい海岸、奇岩が連続している。海岸線はニセコ積丹小樽海岸国定公園に指定されている。
 ニシン漁の最盛期には、北海道ではおなじみの「ソーラン節」が積丹で発祥したとされている。特に泊村は江戸時代からニシン漁を中心に水産業が栄えた。明治になってニシン漁が全盛期を迎えると、泊村には50を超える鰊番屋*が建ち並び、その中でも鰊親方で田中福松の母屋は豪邸で鰊御殿と呼ばれていた。現在は小樽市の祝津に移設され当時の姿を残した資料館となっている。余市町の猪俣安之丞(いのまたやすじょう)が建築した豪邸の鰊御殿は小樽市の平磯岬に移設・改装され、現在は「銀鱗荘」という名の美しい建物で料亭、湯宿として活用されている。
 積丹の名前の由来はアイヌ語で、シャクとコタンの二語を合わせたもので、シャクは夏、コタンは村または郷土のこと。夏、ここでアワビやナマコを採取して生活していたことに由来する。
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みどころ

積丹半島の東側にある黄金崎(おうごんみさき)にある展望台からは青く澄んだ日本海と断崖絶壁が連続し、沖にはニシン景気から名がついた宝島を望むことができる。
 積丹半島の北端、積丹岬周辺は断崖が海まで迫る荒けずりの海岸段丘で、絶好の展望地である。積丹出岬灯台*が立つ頂からは、幌武意(ほろむい)の岩礁美を眼下に、美国・余市方面へ延びる屈曲にとんだ海岸線と、しゃこたんブルーと呼ばれる美しく澄んだ海面が眺められる。灯台の西側には断崖絶壁が続くなか唯一波打ち際まで下りられる島武意(しまむい)海岸があり、駐車場から暗いトンネルを抜け目の前に現れる鮮やかな海は衝撃的な景観である。
 神威岬は積丹半島の西北端に鋭く突出する岬で、かつては茂津多岬*や雄冬岬*とともに蝦夷地の嶮岬と呼ばれた海路の難所。ここを通り過ぎる舟は帆を下ろし、ワラ人形や神酒、幣などを海神に捧げて航海の無事を祈ったといい、1856(安政3)年まで婦女子の通行は禁止されていた。岬の高さは約80m、突端に神威岬燈台*があり、眼前の屹立する伝説の神威岩*の奇岩と碧い大海原の景観がすばらしい。突端へ向かう途中、岩礁伝いの風光もよく、念仏トンネルや水無の立岩の奇岩が目を楽しませてくれる。
 上記のほか、余市沖合約500mの海上に45mを超える高さのローソク岩、古平町の夕焼けに映えるセタカムイ岩、神恵内村の奇岩である窓岩なども積丹の美しい海岸景観である。
 積丹半島もう一つの大きな魅力は、季節ごとに獲れる海の幸、ウニ、アワビ、甘えび、ナマコなど。特に6-8月解禁になるバフンウニ、ムラサキウニの味を求めて来訪する人も多く、ウニ丼がこの地域の名物になっている。
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補足情報

*番屋:漁師が夏の漁の間に泊まりこんだり、作業をしたりする小屋。
*積丹出岬灯台:1965(昭和40)年初点灯で1987(昭和62)年に改築。地上から灯頂までの塔高は13.0m、平均海面から灯火部分までの灯高は141.0m。
*茂津多(もった)岬:北海道南西部、渡島半島北部のせたな町と島牧村にかかる岬と茂津多岬灯台。
*雄冬(おふゆ)岬:北海道西部の石狩市、増毛山地の西端にある岬。 100~200mの断崖の海食崖が形成されている。
*神威岬灯台:1895(明治25)初点灯で、北海道の灯台では5番目の歴史をもつ。現在の灯台は1960(昭和35)年に改築された2代目。地上から灯頂部までの灯高は11.8m、平均海面から灯火部分までの灯高は81.65m。
*神威岩:怒涛逆まく海中に屹立する高さ41mの巨岩。