羊蹄山ようていざん

渡島半島の基部にあたる後志火山群の一つで、その秀麗な円錐形の山容の成層火山*が富士山に似ているところから別名「蝦夷富士」と呼ばれ親しまれており、最高点は1,898mで喜茂別町にある。頂上からは日本海と太平洋を遠望でき、眼下にニセコ連峰などの山々が望める。
 しりべしの語源は、アイヌ語で「しりへ」は後という意味で、「し」は「ギシギシ」という背の高い雑草。畑や野原に自生してハーブや薬草として食べることができる植物。また、後方羊蹄山の北側に尻別川が流れており、この名前からとったという説もある。日本書紀にすでに後方羊蹄山の記述があるという(日本百名山)。歴史的には1858(安政5)年の厳冬期に松浦武四郎*が登り、祠を祀った記録がある。
 麓はニセコ・倶知安・真狩・喜茂別・京極の5町に広がり、登山道は倶知安・真狩・喜茂別・京極からとルートは四方に伸びている。
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みどころ

独立峰で富士山に似た蝦夷富士は広いエリアから望め、その独特な山容で一目で判明する。特に中山峠やニセコアンヌプリの各スキー場斜面からの眺めは圧巻である。また周辺の農村景観越しの後方羊蹄山の眺め*も素晴らしい。
 山頂まで登ると父釜(ちちがま)と呼ばれる山頂火口があり、直径700mの大きさに驚かされる。天気の良い日には約1時間のお鉢めぐりもお勧めで、山頂からはニセコ連峰、洞爺湖、遠くに日高連峰まで眺めることができ、山麓の農業景観も抜群である。
 登山コースには天然記念物の高山植物帯があり、エゾイソツツジ、ハクサンチドリなど色とりどりである。100種以上の高山植物が群生する草木地帯、開花期の夏はもちろん秋の紅葉の彩りもすばらしい。130種以上の野鳥が生息している。俱知安ひらふコース登山口には三日月形をした火口湖「半月湖*」があり深い緑に包まれ、一周1kmのトレッキングも楽しめる。
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補足情報

*成層火山:溶岩と砕屑物とを交互に噴出し、それらが層をなして堆積して生じた円錐形の火山をいう。
*松浦武四郎:1818~1888年。幕末における蝦夷地(現在の北海道と国後、樺太)で精力的に現地調査を行った。蝦夷地の地理やアイヌの生活を記録しており、蝦夷地に対する様々な提言も行っている。武四郎の著書はアイヌ側の視点を重視して記されている。
*農村景観越しの後方羊蹄山:喜茂別町のパンフレット「きもべつ時間」では、羊蹄山の撮影ポイント5カ所が紹介されている。また「真狩村観光ガイド」にも「まっかりビュースポット」が掲載されており、羊蹄山の撮影スポットが紹介されている。
*半月湖:羊蹄山の西山麓、標高260mにある湖。面積1万3,000m2、最大水深18.2m、湖岸線延長1kmの半円形の火山湖。
関連リンク ニセコリゾート観光協会(パンフレット)(WEBサイト)
参考文献 ニセコリゾート観光協会(パンフレット)(WEBサイト)
環境省(WEBサイト)
『日本百名山』深田 久弥 新潮文庫
『ヤマケイアルペンガイド 北海道の山』 伊藤 健次著 山と渓谷社
『北海道の山と谷』再刊委員会 北海道撮影社

2024年03月現在

※交通アクセスや料金等に関する情報は、関連リンクをご覧ください。

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