函館八幡宮はこだてはちまんぐう

室町時代に現在の元町、公会堂前あたりに創建*されたが1880(明治13)年に移転、函館市電の谷地頭(やちがしら)停留場から西に約400m、坂と石段の参道を上がった所にある。開運厄除や漁業、航海の守り神として知られている。本殿は聖帝造*と八棟造*を併せた聖帝八棟造であり、大正式八幡造の代表作と言われる。
 八幡宮の南には、箱館戦争における旧幕府軍約800名の戦死者を弔う碧血碑*(へっけつひ)がある。
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みどころ

函館山の緑に抱かれて津軽海峡を見おろす台地に建ち、威厳のあるたたずまいを見せている。特に谷地頭駅から函館山に向かう坂道の参道に雰囲気があり、聖地に向かう趣がある。また、ゆるやかに曲線を描いて広がる、堂々とした屋根の造りも見事。
 背後にそびえる函館山の尾根と、ロープウェーの架かる函館山の姿が美しい。
 八幡宮から南に通じる参道のひとつを辿ると、旧幕府軍の戦死者を弔う碧血碑がある。旧幕府軍七回忌の1875(明治8)年、榎本武揚*、大鳥啓介*らによって建立されたもので、箱館戦争を偲ばせる。逆に北方向には函館公園、函館ロープウェー乗り場、ハリストス正教会へと続く落ち着いた雰囲気の散策道がつながっている。
 市電の谷地頭駅は路面電車の折り返し点で、坂道を上り下りする電車の姿には哀愁をも感じ趣がある。谷地頭駅周辺には歴史ある谷地頭温泉があり市民に親しまれている。
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補足情報

*八幡宮の創建:元町周辺に建てられたもので、現在は函館港を望む名所として「八幡坂」の名を残している。
*聖帝造:日吉造とも言い藤原時代の寝殿造の後方の一間を切り取った形。
*八棟造:権現造とも言い本殿と拝殿とを中殿で連結した構造。
*碧血:「義に殉じた志士の血は三年経つと碧色になる」という中国の故事からきている。
*榎本武揚(えのもとたけあき):江戸幕府直轄の海軍教育機関で蘭学や航海術を学び、5年間オランダに留学。幕府海軍副総裁となる。旧幕府軍を率いて「蝦夷共和国」樹立を目指し、五稜郭に立てこもったが降伏。東京の牢獄に2年半投獄されたが釈放され、その後明治政府で要職を歴任した。
*大鳥啓介:江戸時代後期の幕臣。五稜郭では陸軍奉行として活躍。官軍に確保後、赦免されて開拓使として明治政府入り。医学・軍学・工学に秀で教育者、外交官として活躍した。
関連リンク 北海道神社庁(WEBサイト)
参考文献 北海道神社庁(WEBサイト)
はこぶら函館市公式観光サイト(函館市)(WEBサイト)
『るるぶ 函館 五稜郭’21』JTBパブリッシング
『北海道の歴史散歩』北海道高等学校日本史教育研究会 山川出版社

2024年01月現在

※交通アクセスや料金等に関する情報は、関連リンクをご覧ください。

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