函館山山麓周辺の街並みはこだてやまさんろくしゅうへんのまちなみ

函館は、横浜・長崎とともに幕末最も早く開港し多くの外国人が生活していた。特に元町付近は海外との交流の場として開けた古い地区。函館山北東斜面の山の手にあり、現在でもハリストス正教会*をはじめ赤煉瓦や木造洋館*など、異国文化の影響を受けた明治の建築物が数多く残存し、風情ある町並みを見せている。
 外国人墓地から旧ロシア領事館、旧イギリス領事館、旧函館区公会堂*、市立函館博物館郷土資料館、カトリック元町教会、函館ハリストス正教会、函館聖ヨハネ教会、函館山ロープウェイ山麓駅舎を経て、石川啄木の居宅跡、函館公園内には現存する我が国最古の博物館建築である旧函館博物館一号館、市立函館博物館本館など見所が豊富である。
 なお、元町に隣接する末広町は金森赤煉瓦倉庫群をはじめとして、函館の経済発展で栄えた街で数々の建物が残され活用されており、魅力的なエリアが連続している(「金森倉庫群と末広町周辺の街並み」参照)。
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みどころ

並木道に石畳、坂道をふり返ればどこからも望まれる港の風景と異国情緒あふれる格好の散策路として、見逃せないポイントといえる。特に元町を中心に西は外人墓地、南東は立待岬まで、函館山の山麓を巻くようにして通じる道は数多くの教会や、レストランや喫茶店もあり、函館のよさが味わえるコースとなっている。
 元町から末広町にかけては魅力的な坂道がいくつかあり、坂の上部から函館港に保存されている青函連絡船「摩周丸」とその先の市街地が美しく映る八幡坂*や、石畳と街路樹、教会や寺院が並ぶ大三坂(だいさんざか)、その他チャチャ登りや二十間坂(にじゅっけんざか)なども魅力がある。
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補足情報

*ハリストス正教会:緑の屋根に白い壁、十字架をつけた高い尖塔が目をひくビザンチン建築で、1860(万延元)年ロシア領事館の付属聖堂として建てられ、1872(明治5)年わが国最初のギリシャ正教会聖堂となった。その後火災で焼失し、現在の建物は1916(大正5)年の再建である。ビザンチン様式の壮厳な姿は「函館の顔」といわれており、夜間もライトアップされ、幻想的な雰囲気をかもし出す。なお、東京神田のニコライ堂の鐘は1928(昭和3)年、ここから移されたもの。
*木造洋館:典型的な建物が旧函館区公会堂。元町公園にある旧開拓使函館支庁煉瓦造書庫は1880(明治13)年建築。復元した旧道庁支庁舎は1991(平成3)年12月に火災にあったが、1994(平成6)年に修復整備され、現在は飲食店として活用されている。
*旧函館区公会堂 :1910(明治43)年に竣工した木造2階建の明治を代表する洋風建築で、時の豪商、相馬哲平の寄贈によるものである。本館と附属棟からなり、本館はイギリスの古典的建築様式であるコロニアルスタイルで、正面から見て左右対称になっている。また、建築意匠や技法などにも優れた特徴をもっており高く評価されている。札幌にある豊平館と同じく当時としては最もモダンな建物で、本館は1974(昭和49)年に、附属棟は1980(昭和55)年に国の重要文化財に指定された。
*八幡坂:以前函館八幡宮が坂の上に存在していたためこの名が残った。
関連リンク はこぶら函館市公式観光サイト(函館市)(WEBサイト)
参考文献 はこぶら函館市公式観光サイト(函館市)(WEBサイト)
函館市(WEBサイト)
函館・南北海道 観光ガイド
『北海道の歴史散歩』北海道高等学校日本史教育研究会 山川出版社
『るるぶ 函館』JTBパブリッシング

2023年12月現在

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