支笏湖しこつこ

千歳市の西端にあるカルデラ*湖で、最深360mと田沢湖に次ぐ日本第2の深さ、面積は78.4km2と日本8位、透明度は17.5mで第4位(環境庁1993「湖沼調査報告書」)である。日本最北の不凍湖で、水中にプランクトンの発生が少なく透明度が高い。
 支笏湖は約3万2千年前に始まった火山活動によりカルデラが形成された。当時は丸型の湖だったと考えられているが、その後の恵庭岳、風不死岳、樽前山の火山活動により現在のひょうたん形になったと言われている。
 北海道随一といわれるほど森林動物に恵まれ、ヒグマが支笏湖を中心とする山々にも生息し、植物分布は針葉樹林と広葉樹林が独立して生育する。
 アプローチは札幌市から南下、千歳市街から西へ、洞爺湖方面から東方向の3ルートあり、多様性ある周遊が可能。
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みどころ

湖岸は緑に包まれており、洞爺湖の明るさと対照的に深く静まりかえる神秘的な魅力がある。湖面は深緑色で暝想的な山水画の趣が強い。周囲の山々が急角度に落ち込んでいるため、観光地らしい賑わいを見せるのは支笏湖温泉周辺だけで、観光船乗り場周辺からの眺めは、湖岸自動車道などの人工物が緑に隠れているため原始性が残されている。
 支笏湖の透明度を実感できるのは、ダイビングとカヌー。時期によっては満開の水草の花や魚の群れに出会える。
 支笏湖が独特の景観を見せるのは冬である。気温の下がった朝は、高波でうねる湖面から飛び散った水しぶきが凍りつき、「しぶき氷」となる。桟橋の手すりに細長いつららが連続して下がり、また地面には草の茎などを核にして成長した球状の透き通った氷の塊が見られ、まさに芸術作品である。
 支笏湖はヒメマス養殖の原点であり、湖畔ではヒメマスを使った「チップ*」料理が楽しめる。千歳のサケの孵化技術を発展させた藤村信吉が1893(昭和58)年、阿寒湖のヒメマスを千歳の孵化場に送って生育し、支笏湖に放流して成功。その後本州に移出されて広まった。
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補足情報

*カルデラ:古い火山の火口が陥没してできた大きな窪地で、直経が数10km以上に及ぶものもある。
*チップ:アイヌ語で「チェプ」(ひめます)から。
関連リンク ちとせの観光(千歳市)(WEBサイト)
参考文献 ちとせの観光(千歳市)(WEBサイト)
Hokkaido Tourist Station CHITOSE(千歳観光連盟)(WEBサイト)
ちとせの観光 パンフレット(千歳市)(WEBサイト)
『ヤマケイアルペンガイド 北海道の山』伊藤 健次 山と渓谷社

2024年01月現在

※交通アクセスや料金等に関する情報は、関連リンクをご覧ください。

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