トラピスト修道院とらぴすとしゅうどういん

北斗市当別丸山*の丘陵に映える赤煉瓦のゴシック式建物で、わが国では最初のトラピスト修道院*である。正式名称は「厳律シトー会燈台の聖母トラピスト修道院」といい、1896 (明治29)年、フランス、オランダ、イタリア、カナダから総勢9人の修道士たちにより創設された。翌年、フランスのブリックベック大修道院からジェラル・プーリエ師*が来て創立修道院長として着任した。
 トラピスト修道院が創立された目的は、すべての人々にキリスト教の福音を伝え、神の恩恵を祈り求めることにあり、祈れ、働けをモットーに開墾・牧畜・農耕に従事して自給自足の生活を行っている。1902(明治35)年にオランダからホルスタインの種牛を輸入し、増殖した乳牛はのちにトラピスト修道院を中心に南北海道一帯に広がった。
 詩人三木露風*が文学講師を務めた。その時の体験をもとに数々の詩を残したと言われる。1922(大正11)年にはここでカトリックの洗礼を受けクリスチャンになった。トラピスト修道院坂下には三木露風の詩碑がある。
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みどころ

トラピスト修道院の建物に向かう、約800mの並木道にポプラと杉の木が立ち並ぶ。並木の先、丘の上にわずかに見える赤煉瓦造りの本館の尖塔と並木道の美しさに感激する。歩いてその美しさを体感したい。また本館方向から逆方向を見ると津軽海峡の海も広がりを見せる。
 トラピスト修道院内部の見学は規制されているが、正面玄関前の鉄格子から内部を見ると、煉瓦造りの本館の赤色と周辺の緑のコントラストが美しい。
 トラピストクッキー、トラピストバター*、トラピストバター飴などは土産品としても有名。
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補足情報

*北斗市当別丸山:地名、現在は北斗市三ツ石
*トラピスト修道院:公認されたキリスト教の教えを守り共同で生活する修道士、修道女の住居や生活様式。わが国では男子修道院をトラピスト、女子修道院をトラピスチヌという。
*ジェラル・プーリエ師:フランス人ではあるが、のちに帰化して岡田普理衛と名乗る。
*三木露風:1889~1964年。詩人。相馬御風・野口雨情らと早稲田詩社を結成。詩集「廃園」によって認められ、象徴派詩人として北原白秋とともに一時代を画した。「修道院生活」という随筆もあり、また「日は輝やかに沈黙し 時はおもむろに 移り行けり 美しき地上の断片の如く 我が命は光の中にいきづく」の詩碑が当地にある。
*トラピストバター:中世から続くフランスのシトー会修道院の伝統製法で、チーズのように発酵熟成させた香りの豊かなバター。
関連リンク 当別トラピスト修道院(WEBサイト)
参考文献 当別トラピスト修道院(WEBサイト)
おいでよ、北斗市へ(一般社団法人北斗市観光協会)(WEBサイト)
函館・みなみ北海道観光ガイド(一般社団法人函館国際観光コンベンション協会)(WEBサイト)
『北海道の歴史散歩』 北海道高等学校日本史教育研究会 山川出版社
『るるぶ情報版 函館』JTBパブリッシング

2023年12月現在

※交通アクセスや料金等に関する情報は、関連リンクをご覧ください。

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