札幌市時計台(旧札幌農学校演武場)さっぽろしとけいだい(きゅうさっぽろのうがっこうえんぶじょう)

札幌市の中心部地下鉄大通駅の北、札幌市役所と道路を挟み斜め向かいにある。建物は北海道大学の前身である札幌農学校の演武場*として1878(明治11)年に建設された洋館である。
 明治政府は「兵農一如」の考えのもと北海道内の各地に屯田兵村を開き、北海道の開拓と軍事的防備の役割を担わせた。このような北海道開拓の事情を背景に、札幌農学校初代教頭のクラーク博士は母校のマサチューセッツ農科大学の例に倣い、生徒にも兵式訓練の授業を導入し、その訓練のための施設づくりを提案した。2代目教頭となったホイーラー先生が基本構想図を作成し、開拓使工業局主席建築技術者安達喜幸の設計、監督により演武場が完成した。1階は研究室、講義室、動植物や鉱物の博物標本室として使われ、2階が「演武場」として兵式訓練や体育の授業に使われるとともに、中央講堂として入学式、卒業式、催事場として使われた。
 その後ホイーラー教頭は、演武場に塔時計を付けて札幌の標準時刻とすることの大切さを力説し黒田長官を説得した結果、1881(明治14)年に時計台が設置された。塔上にある時計*はアメリカ製で明治時代から鐘の音を響かせつづけている。
 現在の時計台の館内は札幌歴史館になっており、札幌市の歴史資料、時計台・札幌農学校関係資料などが数多く展示されている。
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みどころ

札幌市の中心部に、明治時代の建物として美しく、シンボルとなる塔時計も現役で残されていることに意味がある。市民にとっては普段見られる建物であるが、訪問客には必ずすすめるスポットのひとつである。
 周辺に市役所をはじめとした高層ビルが建設され、写真撮影が難しくなったが、建物自身の美しさと歴史的な重みが観光客をひきつける。石原裕次郎の歌「恋の町札幌」で歌われて一躍有名になった。有島武郎の小説「星座」や北原白秋作詞の歌曲「この道」などでもうたわれている。
 時計台は毎正時、時を告げる鐘を鳴らしている。時計台の見学は鐘のなる時間が最適で、かつ鐘をならす数が多い時間帯がお勧めである。
 夜間のライトアップが美しく、特に冬の雪化粧姿が幻想的である。
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補足情報

*演武場:札幌農学校の兵式訓練や体育の授業などのために建設されたもの。
*時計:時計機械は振り子式。鳩時計と同じ構造で、小石を詰めた木箱の重り(約50kg)が動力となっており、週2回人力により巻き上げられている。
関連リンク 時計台(WEBサイト)
参考文献 時計台(WEBサイト)
ようこそSAPPORO(札幌観光協会)(WEBサイト)
『北海道の歴史散歩』 北海道高等学校日本史教育研究会 山川出版社
『るるぶ札幌』JTBパブリッシング

2023年12月現在

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