西尾市は県中南部にあり、東は幸田町、蒲郡市、西は碧南市、北は安城市と接し、南は三河湾に面する。
 名古屋鉄道西尾線・蒲郡線、国道23号、247号が通じる。
 市域は矢作川左岸、岡崎平野の最下流域に位置する。西側は矢作川のかつての本流(現矢作古川)に沿って形成された低地と、安城方面から碧海台地になっており、河口域や三河湾沿岸には海抜0m地帯が広がる。東部には標高 349m の三ヶ根山を主峰とする山地が形成されている。三河湾の沖合に浮かぶ湾内最大の佐久島のほか、無人島の梶島、前島、沖島も市域に含まれる。西三河南部の中心都市。
 1953年(昭和28)市制施行。1954年(昭和29)2町2村、1955年(昭和30)三和村、明治村の一部を編入。2011年(平成23)3町を編入し、現在の市域となる。地名は「煮塩」から転化したといわれる。歴史は古く、縄文時代から人の暮らしが営まれてきた。鎌倉時代に足利義氏によって築かれたと伝えられる「西条城」は、当地地域の拠点として発展。「西尾城」と改称された江戸時代に城下町がつくられ、1764年(明和1)に大給松平家の居城となって以降、松平氏5代105年間続く西尾藩6万石の、西三河最大の城下町としてにぎわい、江戸時代は岡崎、吉田(現、豊橋市)とともに三河三都といわれた。平坂は西尾藩の外港で、矢作川の舟運の結節点、三河五箇所湊の一つとして栄えた。明治以降は敷設された東海道本線のルートから外れたために商況は停滞したが、西三河南部地域の中核的な都市として自動車関連産業の発展とともに成長してきた。
 三河木綿などの繊維工業、鋳物工業が中心であったが、近年では自動車関連の輸送機器工業が発展している。苗木栽培や洋ランの生産が盛んで、碾茶(てん茶)生産は日本一を誇る。このほか、養殖ウナギ、アサリ、ノリなどが生産される。
 別称雲母(きらら)山の八ツ面山麓の久麻久神社(くまくじんじゃ)本殿は国の重要文化財、神明社の大シイは国の天然記念物である。市立図書館岩瀬文庫があり、国の重要文化財に指定されている後奈良天皇宸翰(しんかん)般若心経を所蔵する。吉良町地区は吉良氏関連の史跡も多く、金蓮寺の弥陀堂は国宝。御殿万歳(三河万歳)(国指定重要無形民俗文化財)の発祥地で、伝統の祭りとしててんてこ祭、かぎ万灯祭が伝承されている。また、松平氏の栄華は祇園祭として有形無形で今も残されている。三ヶ根山や三河湾に浮かぶ佐久島を含む一帯は三河湾国定公園に指定され、海水浴場や温泉(吉良温泉)がある。

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