田原市は県南部にある市。東は豊橋市に接し、北は三河湾、南は太平洋、西は伊勢湾と三方を海に囲まれている。
 豊橋鉄道渥美線と国道42号、259号が通じる。
 渥美半島のほぼ全域が市域。海岸線延長は約100km に及ぶ。中央部を赤石山脈の末端が走っており、山と川が入り組む起伏に富んだ地形となっている。さらに、太平洋に面する伊良湖岬から浜名湖口までの海岸線は、「片浜十三里」といわれる直線状の海岸となっており、高さ 20m 以上もある断崖が太平洋の荒波に浸食されて切り立つ。また、半島の先端付近には伊良湖水道の潮流に洗われた奇岩などの景勝地がある。三河湾国定公園の一部に指定されており、宮山原生林は三河湾国定公園の特別保護地区に指定されている。
 1892年(明治25)田原村が町制施行(田原町)。2003年(平成15)市制施行。2005年(平成17)1町を編入して現在の市域となる。江戸時代は田原藩1万2000石の城下町で、幕末の家老渡辺崋山で知られ、ゆかりの史跡が多い。
 農業は野菜、花卉、畜産などで、電照ギクの栽培が盛ん。臨海部にはトヨタ自動車の田原工場などが進出している。
 田原城は巴江城ともいわれ、現在城跡西方に崋山神社が祀られている。城跡の田原市博物館所蔵の『紙本著色一掃百態図』など崋山関係資料は国の重要文化財に指定されている。縄文時代後期から晩期にかけての遺跡である吉胡貝塚(国指定史跡)は人骨300体以上が出土しており考古学上有名。ほかに国指定史跡として、百々陶器窯跡と大アラコ古窯跡がある。背後の蔵王山は秩父中・古生層の山塊で、三河湾の展望に優れ、山頂には展望台と風力発電用の風車がある。三河湾国定公園、渥美半島県立自然公園に指定されており、伊良湖岬、大石海岸(太平洋ロングビーチ)などは景勝地として知られる。 また、太平洋・三河湾といった特性の異なる2つの海に面していることから、多種多様な動植物がみられ、表浜(太平洋)のアカウミガメ、三河湾のスナメリ、渥美半島を経路とするサシバ(鷹)の渡り、全国有数の渡り鳥の飛来地である汐川干潟、天然記念物のシデコブシやハマボウの群生地、黒河湿地に生息するハッチョウトンボなど貴重な動植物の宝庫となっている。

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