飯南町は県中南部にあり、東は広島県庄原市、南は広島県三次市、西は美郷町、大田市、北は出雲市、雲南市に接する。
国道54号、184号が通じる。
中国山地の脊梁部に位置し、周囲を1,000m前後の琴引山やブナの自然林のある大万木山などに囲まれ、平坦地の標高が約450mの県下でも代表的な高原地帯。南端の県境にある女亀(めんがめ/めかめ)山を源とする神戸川が北へ貫流し、谷地区を南に流れる塩谷川は江の川に注ぐ。北西部の三瓶山東麓は大山隠岐国立公園に含まれる。大万木山周辺は県民の森となっている。総面積の約 90 %を山林・原野が占めている。
2005年(平成17)頓原町と赤来町が合併して成立。古来牛市、馬市が栄え、赤名峠を経て山陽との交易が盛んだった。近世は松江藩の支藩広瀬藩領。町の中心にある琴引山は、出雲風土記にその名をとどめており歴史は古い。戦国時代には瀬戸山城址をはじめとする多くの城址で尼子毛利合戦をはじめとする戦があった。陰陽を結ぶ中国山地の要衛として古くから開発され、たたら製鉄や良質米の産地としても知られていた。
米作を中心に高冷地野菜、ぶどう、りんご、メロンなどの果樹栽培、シイタケ、花卉栽培が盛ん。牧草団地育成も進み、牛の飼育など酪農も盛ん。和牛の飼育は百年以上の歴史があり、町産の奥出雲和牛がある。ほかにヤマメの養殖、林業などがある。また、神在月に出雲大社に集まる八百万の神々は、まず飯南町にある琴引山に降り立ち、神戸川を通って出雲大社に下ると言われ、その出雲大社にある全長約13.6mの大しめ縄は飯南町で作られている。
2014年(平成26)に完成した飯南町大しめなわ創作館では、全国の神社からの大しめ縄の発注もある。町内各地にある神社で毎年行われる秋祭りでは、花笠をかぶり、笛太鼓を鳴らしながら地域を練り歩く「はやしこ」や、神楽の奉納が行われる。赤穴八幡宮の三つの木造神像(八幡神坐像、息長足姫坐像、比売神(坐像)は、国指定重要文化財。飯南町民俗資料館には国の重要有形民俗文化財「奥飯石及び周辺地域の積雪期用具」150点が収納・展示される。赤名湿地性植物群落は県の自然環境保全地域。ほかに、琴引山(1013m)、観光農園、キャンプ場、スキー場などがある。神戸川には来島ダムがある。

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