雲南市は県東部にあり、東は安来市、奥出雲町、南は飯南町、広島県庄原市、西は出雲市、北は松江市に接する。
国道54号がおおむね三刀屋川沿いに縦断し、これから分岐する国道314号が斐伊川本流沿いを通じる。松江自動車道の三刀屋木次、吉田掛合、雲南吉田の三つのインターチェンジがある。JR木次線が蛇行しながら市域北半を走り抜ける。
市域は斐伊川水系の中・上流域に展開。北部は斐伊川と三刀屋川、赤川の合流点付近に平野が開けており、比較的標高の低い丘陵地となっている。南部は毛無山(1,062m)を頂点に中国山地に至る。北部は出雲平野に続いていることから、南北の標高差が大きい。市内には、斐伊川本流と支流の赤川、三刀屋川、久野川、その支流である阿用川、吉田川などが流れる。
2004年(平成16)5町1村が合併して成立。新市名は大原、飯石、仁多の3郡を「雲南三郡」と呼ぶなど、近代以降に旧出雲国の南部をさす呼称として流布した「雲南」を採用。山陰と山陽を結ぶ主要街道上に位置することから、陰陽を結ぶ交通の要衝として栄えた。古くから斐伊川の支流周辺の低地では農耕、山間地ではたたら製鉄や炭焼きがさかんに行われ、北部低丘陵地の茶・木綿・薬用人参、南部山間部の薪炭、和紙、鉄などの特産品を扱う木綿市(加茂、三刀屋、大東)、紙市(大東、木次)などが開かれた。鉄の運搬に斐伊川の舟運が活用された他、牛馬の需要も多く、加茂や三刀屋の牛馬市も盛況だった。江戸時代末期から明治期にかけて木次千歯(千歯扱)は全国に知られた。大東地区では第二次世界大戦前から特殊鋼の原材料となるモリブデン鉱山が稼働し、一時期、日本一の産出量を誇った(1973年閉山)。
近年は稲作のほか、茶、果樹、野菜、花卉の栽培、養鶏・畜産業が盛ん。木次地区や加茂地区では工業団地が整備されている。
ヤマタノオロチ伝説で知られる斐伊川が流れ、各地に神話や伝説、神楽などが伝承されており、多くの遺跡や古墳が発掘されている。北部にある加茂岩倉遺跡(国指定史跡)では一括出土した39個の銅鐸が国宝に指定。赤川南岸の神原神社古墳から出土した景初3年(239)銘の鏡は卑弥呼の鏡として注目をあびた(出土品は一括して国指定重要文化財)。この他、松江藩鉄師筆頭の田部家が経営していた数多い「たたら」(砂鉄精錬場の総称)の中心であった「菅谷たたら山内」(山内はたたら製鉄を営む場所の総称)は国指定重要有形民俗文化財。飯石川には雲見滝が掛かり、三刀屋川の支流に掛かる八重滝と竜頭滝は竜頭八重滝県立自然公園の一部。赤川沿いの海潮温泉、斐伊川沿いの湯村温泉(出雲湯村温泉)はともに『出雲国風土記』にも記された古い温泉。市内では桜まつり、三刀屋天満宮夏祭りや総合芸術文化祭、鉄の歴史村フォーラムなどが開かれる。

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