南三陸町は、県北東部にある。北は気仙沼市、西は登米市、南は石巻市に接し、東は太平洋に面する。
 JR気仙沼線BRT(バス高速輸送システム)、国道45号、398号が通る。
 東はリアス式海岸の志津川湾に面し、リアス式海岸特有の景観を有する。北部から西部及び南部にわたっては田束山、惣内山、神行堂山、保呂羽山等の山々が馬蹄形に連なり、これらの山々を水源とする河川が志津川湾に注ぐ。河川流域に谷底平坦地が広がり、集落が形成されている。海岸線は総延長73kmに及び、湾内には荒島、椿島等大小の島々が点在。沿岸部一帯は南三陸金華山国定公園の指定を受け、また、三陸復興国立公園の一角を形成している。
 2005年(平成17)志津川町、歌津町が合併して成立。内陸部の入谷地区は、奥州藤原氏の栄華を支えた産金地帯で、江戸時代中期以降は養蚕が盛んになり、高品質の生糸を生産した。歌津地区館崎の西海岸では世界最古級(約2億4200万年前)の魚竜化石が発見され、ウタツギョリュウ(学名ウタツザウルス)とよばれる。
 志津川湾内ではカキ、ワカメ、アワビ、ウニ、ギンザケなどの養殖漁業が行われ、マダコの水揚げも多い。またカマボコほかの水産加工品も特産。農林畜産業では米作のほかシイタケの栽培、肉用牛の飼育、花卉栽培が盛ん。
 志津川湾沿岸部一帯は三陸復興国立公園(旧、南三陸金華山国定公園)の指定域で、田束山・神割崎といった景勝地があるほか、湾内に浮かぶ椿島のタブ、ハマベンケイソウなどの暖地性植物群落(国指定天然記念物)がある。なお、志津川湾は2018年にラムサール条約登録湿地となった。このほか、入谷地区には江戸後期に建てられた同地区の旧家を整備・開放した「ひころの里」があり、「シルク館」では機織りや繭細工が体験できる。館崎海岸一帯は「歌津館崎の魚竜化石産地及び魚竜化石」の名称で、最初に発見された2体分の化石とあわせて、国指定天然記念物となっている。志津川湾夏まつり福興市、田束山つつじまつり福興市などのイベントや、入谷打囃子、伊里前獅子舞、石浜神楽、泊浜のふるだ舞、本吉法印神楽などの行事がおこなわれる。近年では海山の豊かな自然環 境を生かした体験交流型観光にも力を入れている。

観光資源一覧